兵庫・豊岡で注目 移住の新たなカタチ『妻ターン』 地域に溶け込むには「呼ばれたら行くこと」と経験者 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

兵庫・豊岡で注目 移住の新たなカタチ『妻ターン』 地域に溶け込むには「呼ばれたら行くこと」と経験者

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 一般的に、進学や就職により地元に戻ってくることを「Uターン」というが、結婚後、妻が家族を連れて地元に移住することを兵庫県豊岡市では「妻ターン」と呼び、注目を集めている。劇作家・演出家の平田オリザさんがパーソナリティを務めるラジオ番組(ラジオ関西『平田オリザの舞台は但馬』)に、妻ターンを実践する女性が出演。妻ターンのメリットについて語った。

 妻ターンを実施しているという玉城真弓さんは兵庫県豊岡市出身。進学、就職のため兵庫県西宮市を経て上京し、10年を過ごした。玉城さんが地元に戻るきっかけとなったのは東日本大震災。「故郷に帰りたい。こどもを育てるなら地元の方がいいかも」という思いがよぎったという。

「妻ターン」を実践している玉城真弓さん
「妻ターン」を実践している玉城真弓さん

 豊岡市では、18歳を迎えた若者のうち約7割が市外に出る。その後、男性の5割は戻ってくるが、女性は4分の1にも満たないという。全国でも同様の傾向がみられ、日本では夫の仕事に妻がついていくパターンが多い。これを解消するためには、結婚前に地元に戻ってくるよう働きかけるか、玉城さんのようにパートナーを説得してともに移住するパターンを増やすことがカギとなる。

 東京で出会ったという沖縄出身の夫は、豊岡市に降る雪に戸惑いをみせるも移住を快諾。妻ターンを果たした玉城さんは現在、両親が営む民宿「北神鍋荘」を手伝いながら3人のこどもを育てているそうで、多忙ながらも充実した日々を送っているそう。

民宿「北神鍋荘」外観

 小さいころは当たり前に食べていたという、イモから作る母の手作り蒟蒻(こんにゃく)や山菜料理も、都会から戻ってきた今は改めて“但馬の恵み”として捉えているという。

北神鍋荘の料理
北神鍋荘の料理

 妻ターンのメリットは、両親や地元の友だちがそばにいてくれるありがたさにある。さらに、子育てセンターなどの頼れる環境が周囲にあることに加えて、働き方の選択肢が豊富であるという。

「冬は積雪量がすごいので、農閑期(のうかんき)にはスキー場を手伝う人も多い。それぞれの得意を活かせる場がどこかにあります」(玉城さん)

 移住を考えている人に向けてのアドバイスとして、玉城さんはこのように語った。

「『呼ばれたら行く』ですね(笑)。村の行事や消防団、年末の食事会など、とにかく行って名前を覚えてもらう。そして得意なこと、好きなことを知ってもらうとつながりやすくなります」(玉城さん)

 この言葉を受けて、平田さんも自身の実体験を述べた。

「東京都には公務員が16万人いる。これは但馬の人口と同じくらいです。これだけの人数がいれば自分の仕事だけしていても業務は回るけど、地方はもともと1人がいくつかの仕事をして共同体を支えてきたから、東京モデルを当てはめようとするのは無理があります。豊岡はUターンの方も多いので、僕自身、そんなに厳しいしばりはなかったですよ。“子どもは共通の財産”という認識がみんなにありますし、暮らしやすいですよね」(平田さん)

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