■『“あれ”がいる廃墟』(監督:ブライアン・カヴァラロ、2017年)
アレ? なんか聞いたことあるぞ、この邦題。原題は『Against the Night』。なんかオシャレ映画みたいやん。バズる映像を撮るために学生たちが忍び込んだのは廃墟になった刑務所。肝試し感覚で撮影する彼らが観たものは、得体の知れない“アレ”だった。
この映画、最後まで観ても、結局“アレ”の正体がよく分かりません。でも“アレ”が見たいがために、スクリーンに釘付けにされるのが悔しい。「そっち行ったらあかんぞ」「幽霊が出るのにふざけたらあかんぞ」とホラー映画の暗黙ルールを丁寧になぞりながら、一人、また一人と犠牲者は増えていく。幽霊、モンスター、シリアルキラー……本場アメリカのホラー要素を刑務所に詰め込んでる。友人と怖がりながら一緒に観るには最適な映画。肝心なシーンは暗くて見えないのもポイント高い。
■『ブラッディ・アフェア 過ちのキス』(監督:トム・シェル、2016年)
もうタイトルからして、キスしたからそうなったんやで……という映画。原題は『Inconceivable』。想像し難い、信じられないという意味だそうだ。20年前の恋人は起業し、成功。男の方は家族も仕事もうまくいかない。その隙を突いて、男の元カノが男を手に入れるために狂気じみた行動を取る。
もう、ずっとヤバい行動しか取りません、元カノ。でも映画というフィルターを通さずにみると、「おるよな、こういう人、実際に」と。プレゼントを男の家族に送りつけたり、自宅侵入して、さらに元サヤに収まろうとするところも狂ってる。そして何より怖いのが本作のラスト。散々自分の気持ちを言い放ち、家族にも手を出したにも関わらず……。「うぉぉぉい」と声が出た。まさに想像し難いラストだった。
☆☆☆☆☆
以上、3作品を取り上げた。動物もの、心霊もの、狂気もの。記事公開点数が低いのも分かるところもあれば、見入ってしまうシーンがあったのも事実。全編全てがつまらないわけではないようだ。
上記以外にも、星1つの作品や誰も評価していない作品を観たが、どれも絶妙に「ぐぬぬ」と微妙な気持ちにさせられる作品ばかりだった。だからと言って「観ない」選択は非常にもったいない。
「2.5」。この絶妙なライン上にある作品は観る人を選ぶかもしれない。一方で、観たことがない人は新しい映画の刺激を受けるだろう。場所を問わず映画が観られる時代、ぜひ星2.5の世界へ飛び込んでほしい。
(文=映画企画屋 宮本裕也)