第95回選抜高校野球大会は1日、決勝戦が阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で行われ、地元・兵庫の報徳学園は山梨学院に3-7で敗れ、準優勝となった。試合後、報徳の監督や選手たちが決勝の一戦や今大会を振り返るとともに、夏への意気込みを語った。
先攻の報徳は、4回表に2点を先制して試合の主導権を握るも、5回裏に打者一巡の猛攻を浴びてまさかの7失点。8回表に1点を返すも、前日の準決勝・大阪桐蔭戦のような逆転には至らず、頂点にあと一歩届かなかった。
試合後、「打力も投手力も完全に力負け」と述べたのは、報徳の大角健二監督。「(4回は)いい形で点が取れて流れが来るかなと思ったが、私の継投の判断が遅かった」と、継投のタイミングをポイントにあげるとともに、「1、2点ビハインドだったら今のチームなら何とかなるかなと思っていたが、最後のホームランが痛かった」とコメント。5点を奪われたあとに打たれた山梨学院の5番打者・佐仲大輝の大会第12号となる2ランホームランが大きく響いたという。
主将で捕手の堀柊那が、「7点をとられた回に、なぜあんなに点数をとられたのかを(すぐに)気づけなくて、修正するのが少し遅かった。そこは自分として後悔している」と述べれば、先発した2年生右腕・間木歩も「なぜ打たれたかわからないまま、次のバッター、次のバッターといってしまった。それが連打につながったのかなと思う」と、相手の集中打を浴びたときの心境を吐露。ホームランを打たれた2年生右腕・今朝丸裕喜は「打たれたのはストレート。シュート回転で一番甘いところに入ってしまった。そこは自分の反省点」と、あの1球を悔やんだ。
一方の打線は、堀いわく「気持ちのこもった真っ直ぐをすごく投げ込んできた」山梨学院のエース・林謙吾を相手に、大阪桐蔭戦のような反発力を出し切れず。「まっすぐに差し込まれている打者が多かったので、球種を絞って自分のポイントでしっかり捉えるということをやっていたが、それ以上に向こうが良かった」と4番打者の石野蓮授が振り返れば、4回表にタイムリーヒットを放った6番打者・西村大和も「相手はコントロールも緩急も良い投手だったので、的が絞りづらく対応しきれなかった」。
報徳の陣取る3塁側はアルプススタンドが全校応援で埋め尽くされ、レフトスタンドもほぼいっぱいに。チャンスの際には名物応援「アゲアゲホイホイ」でスタンドが大いに盛り上がるなど、報徳は地元の観衆からの大きな後押しを受けていた。8回表に意地の1点を返した際は、「応援がすごかったので、それも含めた1点だった」と大角監督。「スタンドの皆さんに後押ししてもらった大会だったと思う」と、今大会から戻ってきた声出し応援が大きな力になったという。
「自分が思っている以上に応援してくださる人がいた。その人たちのためにも勝ちたかった」と間木。「悔しい思いをしたし、スタンドの(応援してくれた)子たちにも申し訳ない気持ちがした」という堀は、「でも、まだもう1回、夏(の甲子園)があるので、しっかり明日から切り替えて、全員でもう一度練習して、日本一をとれるようにやっていきたい」と前を向いた。
今大会では2度の延長タイブレークを乗り越え、準決勝では秋に敗れた大阪桐蔭にもリベンジ。試合を重ねて「チームは強くなってきている」と今朝丸。大角監督も「一戦一戦を振り返ると、強豪校で力のあるチームに対してよくこういう結果を残してくれたと思う」と選手たちを称えたうえで、「ただ、準優勝で生徒たちが満足している感じはなかったので、夏に向けて、まだまだやらないといけない」と、ナインとともに夏の甲子園日本一に向けた思いを強くしていた。