春の引っ越しや職場の異動などにより、「プラスチックごみが増えたな」と感じている人もいるかもしれない。利便性ゆえにあらゆる製品が生まれているが、同時にごみの量も増え続けているプラスチック。神戸市では、洗剤やシャンプーなどのつめかえパックを分別回収し、再びつめかえパックに戻す「水平リサイクル」を目指すプロジェクトに取り組んでいる。
プラスチックごみの量は2019年から3年連続で増加の一途をたどっている。日本容器包装リサイクル協会によると、2021年度に市区町村からリサイクル業者に引き渡されたプラスチック製の容器包装は686.467トンにもなるという。さらに、2022年に発表された環境省の調査では、全国8都市における家庭ごみの約50パーセントがプラスチック製品だという。
日本国内におけるプラスチックのリサイクル率は、焼却時にエネルギーを回収する方法を含めれば86パーセントほどになるが、製品や化学原料としてリサイクルされているのは24パーセントほど。プラスチックの種類は、今や100種類を超えるという。ペットボトルなど大半がリサイクルされているものもあるが、プラスチック製容器包装のなかには多くの種類のプラスチックを重ね合わせて作られているものもあり、それらは再資源化のコストが高いことも影響し、リサイクル率が低くなっている。
プラスチックごみ問題を一歩進める取り組みとして、神戸市ではプラスチックリサイクルを推進するプロジェクト「神戸プラスチックネクスト」を実施している。そのなかのひとつ「みんなでつなげよう。つめかえパックリサイクル」は、洗剤やシャンプーなど日用品の使用済みつめかえパックを分別回収し、別のものではなく、再びつめかえパックに戻す「水平リサイクル」を目指す取り組みだ。
リサイクルでは異なる製品に再生することが多いが、「水平リサイクル」では同じ製品に再生する。同じ物質で再生されるためリサイクルのコストが抑えられるうえ、廃棄プラスチックが出づらいというメリットがある。
洗剤やシャンプーなどのつめかえパックは、価格の面で消費者にやさしいだけでなく、プラスチック使用量の削減にもつながっているものの、パックのフィルムそのものはリサイクルしづらい素材だという。
そんなつめかえパックフィルムの水平リサイクルを目指す「神戸プラスチックネクスト」では、スーパーマーケットなどを含めた神戸市内の小売75店舗・3施設に専用の回収ボックスを設置。2021年10月1日から回収をスタートし、1年で1.13トンを回収した。今後は年間5トンペースの回収を目指すほか、つめかえパックから「ごみ袋」にリサイクルする技術も開発中だ。
神戸市環境局の清水充則さんは、「環境面において、プラスチックは悪者にされている部分があると感じることも。しかし、簡単に形を変えることができ、軽量なうえに透明性や耐久性にも優れ、ガスを通しづらく、さらには安く加工できるなど、本当に優れた素材。悪者と捉えるのではなく、製造者や利用者の工夫や心がけで、ゴミを減らしながらリサイクルを目指してほしい」としたうえで、「まずは、使用後の近くの薬局やスーパー、資源回収ステーションなどでつめかえパックを回収し、リサイクルのきっかけにしてもらえれば」と呼び掛けた。
※ラジオ関西『サンデー神戸』2023年4月2日放送回より
◇「神戸プラスチックネクスト~みんなでつなげよう。つめかえパックリサイクル~」について
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