女性たちの最も大きなライフイベントのひとつ“出産”。しかし日本では、妊娠や出産、育児などの負担を妊婦や母親ひとりで抱えるケースも少なくありません。多様化する出産のスタイルも重要な選択の一つで、家族や周りの人も一緒に考える必要があります。今回は、様々な出産スタイルを、助産師の解説や産前産後ケアホテルスタッフの提案とともに紹介します。
解説してくれたのは、『プリュームレディースクリニック』(兵庫県神戸市)の助産師・若林美紀さんです。
出産スタイルは大きく分けると2つ。お腹を切開して赤ちゃんを取り上げる「帝王切開」、産道を赤ちゃんが通って出てくる「自然分娩」に分けられます。自然分娩のスタイルには複数の種類があります。
■計画分娩
自然分娩の中でも「計画分娩」は、あらかじめ出産の日時を決めた上で陣痛が始まる前に入院し、点滴などで陣痛をうながして出産するスタイルです。とはいえ、出産日時は自由に設定するわけではなく、妊娠37週目以降で母体と胎児の健康状態を見極めながら決めることが多いそう。また、出産予定日から2週間をすぎても陣痛が来ない場合や妊婦に持病がある場合など、母子の健康のために選択されることも多々あり、決して利便性だけを追求したものではないと助産師の若林さんは言います。
■無痛分娩
近年耳にする機会の多い「無痛分娩」。背中からチューブを通して麻酔を入れ、陣痛の痛みを和らげるスタイルです。痛みに不安があったり、産後の回復を早めたい場合に選択されることが多いとか。一般的には自然分娩よりも産後の回復が早まるとのことで、イギリスなどでの海外では産後1日半程度で退院する人も。
しかし、若林さんによると、“無痛”とはいうものの完全に痛みが全く無くなるわけではないそうです。心臓や血圧に持病がある妊婦の負担を減らすという目的が主で、あくまで“痛みを和らげる程度”の効果を期待するものであるため施設によっては「無痛」と言わず「和痛」分娩と表現することもあるのだとか。
■水中分娩、フリースタイル分娩
さらに、体温ほどの温かいプールに浸かって水の中で出産する「水中分娩」、分娩台ではなくフラットな場所で横向きや四つん這いなど楽な姿勢を選んで体の向きを変えながら出産する「フリースタイル分娩」など、さまざまな方法が存在するといいます。
若林さんは「まずは施設や担当医と相談することが大事。それぞれのメリット・デメリットをよく確認した上で、お母さんと赤ちゃんの体の状態を見極めながら、より安全で快適な出産方法を選んでほしい」と呼びかけました。
また、『産前産後ケアホテル ぶどうの木』の広報・齋藤樹奈さんは、女性とその家族の出産をサポートする立場から、妊娠したらまず考えたいことのひとつに「どのようなスタイルで出産を行うか」を挙げました。そして、とくに自然分娩は、方法が多岐にわたるため自分に合ったものを選択することができると話しました。
※ラジオ関西『Clip火曜日』「3435(さんぜんさんご)ぷろじぇくと」2023年3月28日放送回より
◆女性医師によるクリニック『プリュームレディースクリニック』
【所在地】兵庫県神戸市東灘区岡本1-4-17
【アクセス】JR「摂津本山駅」から徒歩3分、阪急電鉄「岡本駅」から徒歩4分
【TEL】078-600-2675
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