■「神戸の魅力を国内外に発信、そのきっかけに」フェリシモ・矢崎和彦社長
フェリシモの矢崎和彦社長は、ラジオ関西の取材に対し、ポートタワーの運営について「神戸の魅力を、国内外のさまざまな方々に伝えていくためのきっかけづくり」と位置付けた。
矢崎社長はかねがね、神戸全体が、多様な価値を包み込むひとつのテーマパークだと考えていた。そのうえで、「ディズニーランドにシンデレラ城があるように、ポートタワーは神戸の中心ともいえるランドマークだ」と話す。
フェリシモは阪神・淡路大震災が起きた1995(平成7)年の秋、大阪から神戸へ移転してきた。矢崎社長は「その理由は、神戸という街に惚れ込んだから。あれから28年、今も海と山に囲まれた美しい風景と、個性的なエリアが点在する日本でも稀有な街・神戸が今も大好きで、魅力的な都市。しかし、国内外にその価値が伝えられているのか、少し疑問を持っていた」と胸の内を語る。
神戸の景色が紹介される時は必ず、美しくたたずむポートタワーが登場する。矢崎社長はその景色のすばらしさを称える一方、「建設から長い時間が経ち、周辺に高い建物が存在するようになった。上層部から望める景色だけではランドマークとしての価値が充分に発揮されていないと思う」と指摘する。
そして、「館内に魅力的なコンテンツを数多く配することによって、タワーに上ることの意味合いのバリエーションが広がって、その価値が増大化すると思う。今後、神戸のさまざまなエリアや事業者の方々との連携によって、神戸全体の賑わいや経済活性化にもつなげられれば」と抱負を語った。
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【神戸ポートタワー】1963(昭和38)年に完成。ハーバーランドやメリケンパーク、神戸のウォーターフロントの中心部、神戸港中突堤に建つ、ミナト神戸のランドマークタワー。高さ108メートルは大阪・通天閣と同じ(2016年、通天閣の頂上部にある避雷針が3メートルから8メートルに延長されたため)。和楽器の鼓を長くしたような双曲面構造の美しい外観と独特のパイプ構造を持ち、赤色のアクセントと、形状の優美さから「鉄塔の美女」と呼ばれる。 2021(令和3)年9月、耐震補強工事が始まった。当初は開業60周年となる2023年夏ごろのリニューアルオープンを予定していたが、台風などにより遅れていた。
【フェリシモ】1965(昭和40)年、大阪で「ハイセンス」として創立、自社の独自企画による衣料品・生活雑貨・インテリア・化粧品などをカタログやWEBサイトで通信販売するのが特徴。1989(平成元)に商号を「株式会社フェリシモ」へ変更。阪神・淡路大震災が起きた1995(平成7)年、本社を神戸へ移転した。利用者の声を反映した商品作りや、 従業員同士が好きなテーマでつながる社内制度「フェリシモ部活」などの取り組みで知られる。 2021(令和3)年、本社ビルを、神戸市が再開発事業を進める複合開発地域・神戸市新港突堤西地区 (神戸市中央区新港町) へ移転、同年チョコレートの企業博物館「フェリシモ チョコレート ミュージアム」がオープンした。