恋愛するのが苦手な男子大学生が「ぬいぐるみサークル」に入部して、自分の居場所を見つけます。京都を舞台にした青春映画『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』が公開中です。
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高校生の七森剛志は、同級生の女子から告白されました。
女子「いろいろ相談に乗ってもらってるうちに、七森のことを好きになったって言うか、好きなの。その、だから、付き合ってほしいです」
七森「ありがとう、うれしい」
女子「ほんと?じゃあ……」
七森「ごめん、でも僕……」
女子「他に好きな人とかいるの?」
七森「いないけど、僕、恋愛の好きっていうのがよく分からなくて」
女子を異性として好きになる感覚を七森は持てずにいました。
七森は京都にある大学に入学し、オリエンテーションの帰りに、同じ新入生・麦戸美海子に出会います。麦戸はぬいぐるみを作るサークルに興味を持っていました。七森と麦戸は入部説明会へ行こうと部室を訪ねます。
「ぬいぐるみサークル(ぬいサー)」は、ぬいぐるみを作るサークルではなく、ぬいぐるみと“しゃべる”サークルでした。
副部長の鱈山が言います。
「話を聞いてくれる相手がいるだけで少し楽になれる。でも辛いことを向けられた相手は悲しんで傷つくかもしれない。だから僕たちはぬいぐるみとしゃべって、ぬいぐるみに楽にしてもらおうと思っている」
悩みや悲しみなどの感情を誰かに話すと負担をかけてしまうのではないか。相手を傷つけないためにぬいぐるみに話しかけよう、ということで部員たちが活動していることが分かりました。
ぬいサーには、やさしくて繊細なメンバーが集まっていました。