「カワイイ」。今では世界でも認識されている言葉ではないだろうか。日本独自のカワイイ文化の生みの親ともいえる「内藤ルネ」のデビュー70周年を記念した特別展「Roots of Kawaii 内藤ルネ展」が神戸ファッション美術館(神戸市東灘区)で開催されている。2023年6月25日(日)まで。
キラキラと輝く大きな瞳の少女「ルネガール」で一世を風靡したマルチクリエーター「内藤ルネ」。イラストレーターとしてデビューし、少女誌のふろくや人形制作、インテリア提案、絵画など、その活躍は多岐にわたる。
「少女たちの日常が少しでも楽しく、潤いのある毎日になるように」との思いを込めて生み出された作品やグッズ、キャラクターは、デビューから70年を経た今でも色褪せない。会場には、過去最大規模の570点もの作品が並び、内藤ルネの軌跡を仕事別に紹介する。
「ルネガール」は、電話をしたりボーイフレンドと一緒にいる場面などが描かれ、当時としては珍しく、センセーショナルだった。それまでのおとなしく控え目な少女像とは一線を画し、女の子たちの憧れの的になった。会場には原画の他、絵には描かれていない部分を想像し、衣装を再現した展示もある。
内藤ルネはイラストだけでなく、雑誌の付録や自身が描いたキャラクター・グッズも手掛けた。「ファンシーグッズ」という言葉が生まれるきっかけとなったのも内藤ルネかもしれない。愛らしい表情が特徴の「ルネ・パンダ」は、1970年にイギリス・ロンドンを訪れた際、出会ったパンダがきっかけで生まれた。日本・上野動物園にパンダが来る前のことで、「日本のパンダブームの火付け役」にもなった。
またライフスタイルクリエーターとして、白いおしゃれな家具など和から洋への転換を提案し、「リビング」という言い方を広めた。数多くの絵画も手掛けており、時代によって描くタッチの変化も感じられる。