一説には“全治2か月のケガと同じくらい”とも言われるほど大きな負担が生じる出産。日本では、その負担のほとんどを母親一人で抱え込むことも多いといわれますが、海外では産前産後をケアするさまざまな制度や取り組みが存在します。
例えば、フィンランドには妊娠期から継続的に子育て家族を支援する「ネウボラ」という出産・育児支援施設、イギリスには出産に付き添ったり育児をサポートしたりする「ドゥーラ」という専門職があります。
近年日本でも注目されているのが、韓国や中国などでは一般的になりつつあるという「産前産後ケア施設」です。出産を控えた妊婦・出産後の母親とその家族のために産前産後のエキスパートが利用者をサポートする施設で、助産師や専門スタッフが常駐。母体の健康管理をはじめ産後の生活のアドバイスや赤ちゃんの沐浴・スキンケアなど育児技術の指導を受けることができます。ここ数年で日本にも数々の産後ケア施設が誕生しているといいます。
たとえば、2022年6月にオープンした『産前産後ケアホテル ぶどうの木 京都院』では、24時間体制のベビールームを備えた部屋が18室あり、助産師など専門スタッフが常駐。授乳や沐浴のレッスンを受けられるほか、おいしさと栄養バランスを両立した管理栄養士監修の食事が提供され、ホテルならではの快適な空間でゆったりと過ごすことができるそう。
同施設の広報を務める齋藤樹奈さんによると、最近では母親だけでなく、その夫や上の子どもなど家族で滞在する利用客も多いといいます。「出産するご本人の希望だけではなく『妻にリラックスした状態で過ごしてほしい』と考えるご主人が施設について調べて予約し、一緒に滞在するというパターンも増えています」と話しました。
パパにも授乳や抱っこの指導をしているといい、「家族一丸となって赤ちゃんを迎えたい」という想いを叶える場所としても機能しています。