ファッションやライフスタイルをはじめさまざまなことにこだわりを持つZ世代ですが、いま「前髪」のスタイリングに全力をそそぐ人が多いそう。そんな中、特に女性の間でマストアイテム的なグッズがあるのをご存知でしょうか。
それは『マトメージュ 前髪グルー』。おでこに塗って前髪を貼り付けることで強風や湿気によるくずれをカバーし、“理想の前髪”を保つことができるそうです。Z世代のこだわりをふまえながら、同品の開発秘話について『株式会社ウテナ』の則包さんに話を聞きました。
――開発のきっかけを教えてください。
弊社は現在創業97年目、もうすぐ100周年を迎える老舗会社です。おもに40代〜50代中心のスキンケア商品を中心に販売していましたが、2018年よりZ世代の女性をターゲットにした商品開発も進めるようになりました。「前髪グルー」はそのチーム会議の中で「前髪が崩れたらこの世の終わり」というツイートを見つけたことがきっかけです。この言葉に共感し“前髪キープ”に特化したアイテムの開発に着手したのです。当初はパウダータイプなどが候補に上がりましたが、調査すると「つけまつげ用のり」や「二重まぶたを作るのり」で前髪を固定している人が多くいることを知り、前髪を肌に直接とめる“のり”、いわゆる「グルー」を採用することになりました。
――発売までの道のりはどのようなものでしたか?
社内では「前髪をおでこに貼りつける行為がユーザーに受け入れてもらえるのか?」という疑問の声が上がっていました。とくに経営陣の男性に理解してもらうのが大変で……。経営会議では、頭を振り回しても前髪がキープされているところをアピールしたり、社内のマラソン大会で走っても取れないところを見せたりと、役員たちを説得するためにあらゆるシチュエーションを想定したプレゼンを実施。最終的にはチームメンバーの熱意が評価され、発売に至ることができました。
――購入層は?
メインは10代~20代、前髪のスタイリングを死守したいZ世代女性です。発売後はミレニアム世代にもユーザー層が拡大しています。
――人気のほどはどうですか?
発売から1年で、累計10万個を販売しています。発売前から話題になり、発売当初は10分で完売した店舗も出るほどでした。このような売れ方をしたのは弊社の歴史のなかでも初めてです。実際に前髪が崩れないことを実証するため、逆立ちやドライヤーの強風を当ててみたり激しいダンスをしたりなど、過酷な状況で試すユーザーレポートがSNSで多く投稿されています。このようなSNSでの自然発生的な投稿によって情報が拡散し、多くの方に知っていただくきっかけになりました。コスプレイヤーの方には、ウィッグの毛束をとめるアイテムとしても使っていただいています。それまではクラフト用の“のり”を使って毛束をつくる方が多かったと聞きました。