劇作家・演出家の平田オリザさんがパーソナリティを務めるラジオ番組(ラジオ関西『平田オリザの舞台は但馬』)に、兵庫県豊岡市で天然シカの捕獲・解体・販売を行う高田尚希さんが出演。移住の経緯や移住を検討する人へのアドバイスを語った。
高田さんは兵庫県宝塚市出身。緑化製品を扱うメーカーで営業職として東京や大阪を拠点に仕事に邁進していたが、「東京を緑化するのもいいが、緑があふれている場所に身を置きたい」と思い立ち、35歳のときに移住を決断。2015(平成27)年に朝来市の地域おこし協力隊(2期生)に採用され、山村での生活をスタートした。
「生産者」になりたいという思いは漠然とあったが、“つて”はない。そんなときに声をかけてくれたのが地元の猟師らだった。聞けば、獣害駆除を兼ねて行っている猟(りょう)も高齢化が進み、60~70代が中心になっているという。
興味を持った高田さんは手伝いからはじめ、気がつけば狩猟・解体はもちろん、地域おこし協力隊卒業後には民家をリノベーションした食肉処理施設を立ち上げ、豊岡で知り合った妻とともにECショップ『但馬のジビエ ココ鹿』を運営するまでになった。狩猟のみならず、サイトを運営するまでに至った心境について、高田さんはこのように語った。
「獣害駆除で獲った鹿の9割は廃棄になってしまうんです。猟師と消費者の架け橋になりたかった」(高田さん)
普段、なじみがない人も多い鹿肉だが、近年はヘルシー食材としても注目されている。オススメの食べ方は「もも肉のカツ」。鹿肉は脂分が少ないため、いくらでも食べられるのだとか。お好みのハーブとともにオーブンで低温調理するローストは、冷めてもおいしい。
移住を検討している人へのアドバイスとして「行きたいところにまずは飛んでみる」ことを挙げた高田さん。
「地方に行くと、50〜60歳でも若手です(笑)。来てみないとわからないご縁がいきなり広がります。そこから『できること』『できないこと』を振り分けていくと、自分ができそうなことが見えてくる。八方美人もいいんです。誰にお世話になるかわからないし、あいさつひとつで関係も変わってきます」(高田さん)
高田さんの言葉を受け、平田さんも「但馬は人も優しく、適度な距離感も保ってくれるのでいいですよね」と自身の移住体験をふまえて大きくうなずいた。
※ラジオ関西『平田オリザの舞台は但馬』2023年5月11日放送回より
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『平田オリザの舞台は但馬』
放送日時:毎週木曜日 13:00~13:25
放送局:ラジオ関西(AM 558khz / FM 91.1mhz)
パーソナリティー:平田オリザ、田名部真理
メール:oriza@jocr.jp
『ラジコ』では放送後1週間はタイムフリーでの聴取が可能。番組では、平田オリザさんが、ともにパーソナリティーを務める田名部真理さんと、これまでの自身の話しや演劇界への思い、移住拠点となっている兵庫・豊岡、但馬地域について、トークを進めていく。