◆森は大切な存在
西脇市の片山象三市長は、「市にとっても高齢化が進む中での森林整備問題は重要です。森を守ることは地域の水害対策にもつながります。サントリー社と一緒に整備できるのはとても大きい」と語ります。
同市では、この森の木で作られた本棚を地元の子ども園や小学校に提供。森を守る取り組みを“見える化”しています。片山市長は「水の流れは、気持ちの流れにつながっています。一緒になって森林と水を守っていく、それを子どもたちに伝える取り組みができていることに感謝しかない」との思いも口にしました。
◆森林組合にとっても、研修は貴重な機会
かつて山の多くは、土の良いところにスギやヒノキを植え、人工林として管理していたそうです。しかし、こうした木が育ちやすい赤土部が少ないと、多くの雑木が生えて手入れされない状態になることも……。森林組合メンバーは、(定期的な森林整備につながる)木の伐採などを研修で行ってくれることがありがたいと話していました。
◆研修後の若手社員の思い
実際に、研修を受けた社員はどのように感じたのでしょうか。加藤啓さんは「初めての木を切る体験で大変さを知り、様々な方の協力でお客様に製品を届けられていることがわかった。(自身が所属する神奈川)綾瀬工場がどこの森林地から水をもらっているのか調べたい」と話しました。また、眞尾瞳さんは「『水と生きる』との企業理念を学んではいたが、それが“生きている言葉”だと感じた。自分の責任や誇りとし、実体験としてしっかり伝えたい」としました。辻義之介さんは「自然の恵みを社会に提供している会社なので、水のサステナビリティはとても重要なテーマ」とし、今後の業務に生かすことを誓っていました。
◆入社2年目以降を対象とするのには狙いがある!
同社研修担当の宮﨑優さんによると「数年前までは入社1年目の秋に実施していましたが、理念や仕事内容が分からない段階では物見遊山に終わってしまいます。仕事を理解し、経験を積んだ上で体験することで“自分ごと化”してもらえるため、この時期に実施しています」とのこと。実際に、研修を受けた社員の感想にも“自分ごと化”というキーワードが盛り込まれており、狙いと意義は着実に伝わっていると言えそうです。
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私たちに欠かせない水。森を守ることから始まり、そして多くの人が関わっています。参画者の間で好循環が生まれていることも注目に値します。何事も“自分ごと”として捉えることが第一歩なのではないでしょうか。
(取材・文=市岡千枝)