サッカー・J1、ヴィッセル神戸の元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタ選手が25日、神戸市内で記者会見を行い、今夏でヴィッセルを退団することを発表した。
イニエスタ選手は、同日正午ごろ、クラブのトップである三木谷浩史氏(楽天グループ株式会社代表取締役会長兼社長、楽天ヴィッセル神戸株式会社代表取締役会長)とともに記者会見に臨んだ。
チームメイトやスタッフが見守るなか、会見の冒頭、三木谷会長が「イニエスタ選手がクラブを離れる決断をした。7月1日の北海道コンサドーレ札幌戦が最終戦になる」と発表。イニエスタ選手は約5年間、6シーズンにわたって過ごしてきた港町のクラブを去ることになった。
続いてイニエスタ選手は「伝えたいことがたくさんある」と思いをつづり、クラブや日本、三木谷氏らへの感謝を述べつつ、「自分はここで引退する姿を想像していたが、物事は希望や願望どおりにいかないもの。まだまだプレーを続けたい思いがある。それぞれの歩む道が分かれ始め、監督の優先順位も違うところにある。ただ、それが与えられた現実。ここを去る決断がベストだということになった。今日クラブに別れを告げる日が来たが、最も難しかった決断。今後は違った角度からチームやクラブをサポートしたい」と、退団と現役続行の意志を明かした。
スペインのカスティーリャ・ラ・マンチャ州出身、今年5月11日に39歳の誕生日を迎えたイニエスタ選手は、卓越したテクニックとサッカーセンスを兼ね備える「スペインの至宝」。アカデミー時代から育ったFCバルセロナで一時代を築き、数々のタイトル獲得に貢献。また、スペイン代表でも国際Aマッチ125試合13得点という実績を持ち、4度のW杯に出場する偉業を成し遂げ、2010年南アフリカW杯では主軸としてスペインを頂点に導いた。
2017-18シーズンをもってバルセロナを退団後、2018年5月24日に、ヴィッセルへ完全移籍加入することを発表。同年7月22日の2018シーズンのJ1リーグ戦第17節湘南ベルマーレ戦で日本での第一歩を踏み出すと、同年8月11日のJ1第21節ジュビロ磐田戦では元ドイツ代表FWルーカス・ポドルスキ選手のアシストを受けて初ゴールを記録。翌2019シーズン途中からはチームのキャプテンに就任し、その年の締めくくりとなる第99回天皇杯ではクラブに悲願の初タイトルをもたらした。
2020年からはコロナ禍となったなかでもクラブに在籍し続け、アジアの戦い・AFCチャンピオンズリーグ(ACL)では、けがをおしてプレーし、ベスト4入りを後押し。2021年には契約を2年延長し、今年でヴィッセル6年目のシーズンとなっていた。ヴィッセルでのJ1通算成績(※2023年5月20日現在)は、113試合出場、21得点。