6月から新規制 間違えると犯罪になる“ミドリガメ”こと「アカミミガメ」の扱い 縁日での販売は絶滅か | ラジトピ ラジオ関西トピックス

6月から新規制 間違えると犯罪になる“ミドリガメ”こと「アカミミガメ」の扱い 縁日での販売は絶滅か

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■アカミミガメの「これまで」と「これから」

 さてここからが本題です。2023年6月1日からアカミミガメとアメリカザリガニが新たな外来種の枠組み「条件付特定外来生物」に指定されます。まずはアカミミガメについて情報をおさらいしましょう。

 アカミミガメは米国東南部やメキシコ原産で、いくつかの亜種がいます。その中で最も我々が頻繁に目にするのは、目の横が赤くなっていて、まるで赤い耳を持つように見えることからその名が付いたミシシッピアカミミガメです。

 ペットとして、またお祭りや縁日での販売対象として人気で、小さい時は色鮮やかでかわいらしいのですが、大きくなると甲長28センチほどになります。また寿命は約30年ととても長いので、飼いきれなくなった人が無責任に屋外に放つケースが跡を絶ちませんでした。

大きくなったアカミミガメは力も強く、飼うスペースを確保するのも大変です。

 結果、今日本の淡水域で見かけるカメのほとんどがミシシッピアカミミガメになってしまい、在来のニホンイシガメが追いやられてしまった上に他の在来の動物、植物、農作物に多大な被害をもたらしています。

 影響力でいえば余裕で特定外来生物レベルのアカミミガメですが、ペットとして飼っている人が多すぎて、いきなり飼育禁止にすると大混乱がおきて逃す人が増え、逆効果になるという懸念から「条件付特定外来生物」という「一部の規制がかからない特定外来生物」になったというわけです。

■具体的にどうなる?

 それではこれからアカミミガメの扱いはどう変わるのでしょうか。具体的なことを言うと、まず捕獲はOKです。池にいるアカミミガメを網ですくってもいいですし、捕まえてその場で観察してすぐに逃す、いわゆるキャッチ&リリースも大丈夫です。

 さらに捕まえた場所から持ち帰って家で飼ってもかまいませんし、今まで飼っていた人は引き続きそのまま飼って問題ありません。許可のない移動、飼育が禁じられていた従来の特定外来生物とは、まずここが違います。しかし蓋をしないなど不適切な飼い方をして逃げられた場合は罰則の対象になる恐れがあります。

 また、一旦家に持ち帰ったものをまた同じ場所に返す行為、捕まえてすぐであっても捕まえた場所と別の水域に放つ行為、同じ水域であっても上流、下流に移動させる行為は法律違反です。

 さらに、生体の販売も禁止です。かつて縁日の名物だったミドリガメすくいを見ることはもうほぼ有り得ないと言って差し支えないでしょう。その他、不特定多数の人に配る行為(頒布)もアウトです。一方、どうしても買えなくなった場合に、責任を持って飼ってくれる人に無償で譲ること(譲渡)は大丈夫です。

 そして、家でさばいて食べるのも問題ありません。僕はこれまで何回かアカミミガメをさばいて食べているのですが、やや筋っぽいものの普通においしいお肉です。

アカミミガメの赤ワイン煮込み。やや筋っぽさはあれど、臭みも特にありません。

 ただ、さばくのはとても難しく、とにかく甲羅を開くのが大変です。さばくためにホームセンターに電気ノコギリを買いに行き、店員さんにオススメをお伺いしたところ「木材か、金属か、カットする対象によってオススメは違いますが、何を切るんですか?」「カメです」「は?」という不思議な会話が生まれてしまいました。

■最後に

 ここまでいろいろと述べてきましたが、あくまでアカミミガメは一生懸命生きているだけで、決して悪者ではありません。ご家庭にお迎えしたアカミミガメは、最後までしっかりと愛情を持って飼っていただければと思います。

◇さかな芸人ハットリ
日本さかな検定一級をもち、魚の名前で歌を歌う水産系ピン芸人。「300種類の魚を釣るまで釣った魚しか食べない」「半年間毎日外来種を食べる」などの自主企画に取り組む。主な過去の出演番組 『アメトーーク!釣り大好き芸人』『 櫻井・有吉THE夜会』ほか

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