等々力→神戸622kmチャリ移動で話題の川崎サポ「勝ち点以上のものもらった」 神戸「自然と総出の出迎えに」 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

等々力→神戸622kmチャリ移動で話題の川崎サポ「勝ち点以上のものもらった」 神戸「自然と総出の出迎えに」

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―――そんな中で、当日朝に試合中止の報。もうやめようとはお思いになりませんでしたか。

【小野田さん】 心はめちゃめちゃ折れそうでした。どうにもできない距離(残り36キロ)というのがつらかった。帰りの交通手段(深夜バス)の関係で、神戸の駅までは行く必要があったんですけど、皆さんが声援をくださっているのと、ノエスタが初めてで一度でいいから観ておきたい、次の対戦時の下見をしておきたい気持ちもあってスタジアムへ向かうことにしました。

―――そんな小野田さんを「陰ながら応援していました」というコメントも、Twitterにたくさん上がっていました。

【小野田さん】 そうなんです、すごくビックリしました。最初は「いつもやり取りしてる川崎サポさんからコメントをもらえれば」くらいのレベルだったので。こんなに多くの人が見守ってくださるというのは、当初は考えもしなかったことでした。

―――乗ってこられた自転車は、神戸サポの方にお預けになったそうですね。

【小野田さん】 はい。「輪行(公共交通機関を使って自転車を運ぶこと)もできなくてコインパーキングにでも置いて帰ろうかと考えている」というようなことを話していたら、神戸サポさんの方(ほう)から、うちの倉庫に入れてあげるよとお声がけくださったうえ、脚が(張って)パンパンのところを車で倉庫や(JR三ノ宮)駅まで送ってくださったんです。笑顔で全部してくださったので恐縮しきりでした。

―――スタジアムでも神戸までの道のりの中でも、名古屋サポの方などとのふれあいがあったとか。

【小野田】 時間がなくて移動ばかりでしたが、サポの方以外にも、「自転車でどこ行くの?」とお声がけくださる街の人もいらして。それがうれしくてパワーの源になっていました。

―――地元にお帰りになった際には、今度は甥っ子さん、姪っ子さんのお出迎えを受けられたんですね。

【小野田さん】 それもビックリしました、サプライズだったんです。最後の最後まで、本当に夢見ているような感じで終わりました。じつは、こんなこと(話題)になっているのは家族にはあまり言っていなくて、帰って報告したら驚いてました(笑)。

帰還先では甥っ子さん、姪っ子さんが歓迎(小野田さんTwitterより)
帰還先では甥っ子さん、姪っ子さんが歓迎(写真:小野田さんTwitterより)

―――結局何キロ走られたんですか?

【小野田】 最終的な走行距離としては622キロです。

―――改めておつかれさまでした! 今回は残念ながらご観戦には至りませんでしたが、延期になった神戸戦には?

【小野田さん】 神戸にはお邪魔しようと思っています。またチャリで行くのか新幹線で行くのかは全然決めていなくて(笑)。じつは、「リベンジしてください」とのお声をくださる方もちらほらいらっしゃいまして……。ただ、いま皆さんが盛り上げてくださっていることに便乗するような形になるのもどうかと思っていて、状況を見て決めようと思います。

―――神戸のスタッフ、サポーターの皆さんに伝えたいことはおありですか?

【小野田さん】 出発したときは「勝ち点3を取りに行こう!」という気持ちでいたんですが、勝ち点以上の温かい気持ちをいただき、神戸さんの優しさにも触れることができて「サッカーっていいな」と改めて感じられる旅になりました。本当にありがとうございましたとお伝えしたいです。

☆☆☆☆☆

 ヴィッセル神戸によると、当初は数人で出迎える予定だったのが、話がスタッフ内で広まり、「少しでも喜んでもらいたい、せっかく訪れた神戸の思い出を少しで良いものに、という思いで各々が自分のやれることを考えた結果、自然とスタッフ総出でのお出迎えとなった」のだという。担当者は「こんなに反響があるとは思わなかった。素直にうれしく思う。どんな状況や事態でも、常にヴィッセルに関わるすべての人を少しでも幸せにしたい気持ちを忘れずに、今後も取り組んでいきたい」とコメントした。

 小野田さんの到着を伝えたヴィッセル神戸の公式Twitterにも、「ホント素晴らしい!」「スタッフさん最高! 夜へ急ぐ人さん最高!」「いいね1回ポチじゃ足りない」など、両者やサッカーへの賞賛が多く寄せられた。なお、預けた自転車は今週末に車で取りに行く予定とのことだ。

 Jリーグ30周年の記念イヤーに、サッカーを愛する人と人が生んだ心温まるエピソード。これからも、サッカーの結ぶ縁が数多くの新たな物語をつむいでいくことだろう。

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