《神戸・男子高校生殺害事件 裁判員裁判》 元少年 、遺族へ初めて謝罪も 「なぜ人を殺してはいけないのか」との弁解にあきれる遺族 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

《神戸・男子高校生殺害事件 裁判員裁判》 元少年 、遺族へ初めて謝罪も 「なぜ人を殺してはいけないのか」との弁解にあきれる遺族

LINEで送る

この記事の写真を見る(3枚)

 神戸市北区の路上で2010年10月、堤将太さん(当時16歳・高校2年)が殺害された事件で、殺人罪に問われた元少年(30・事件当時17歳 記事上は「男」と表記)の裁判員裁判は、神戸地裁で8日も開かれ、被告人質問で「(将太さんにとって)将来の良いことも悪いことも、全部自分のせいで絶たれてしまった。申し訳ない」と初めて謝罪した。

神戸地裁法廷<2023年6月7日午前 初公判開廷前 ※代表撮影> 

 男は「(将太さんに対する)殺意はなかった」として、起訴状の内容を否認しており、弁護側は善悪の判断が著しく低下する「心神耗弱」状態だったとして刑の減軽を求めている。主な争点は男の責任能力の程度と殺意の有無で、判決は23日の予定。男は事件の8日前に、神戸市北区の大規模商業施設で折りたたみ式ナイフを購入。その目的について「自傷(リストカット)や、不良グループから身を守るため」と説明した。
 男は、事件について「異常なことをした」と述べる一方で、「不良のような男性に反感を持っていた。(将太さんを見かけて)自分に危害を加えようとすると思い、追い払おうとしてナイフで刺したが、殺そうという気はなかった」と釈明した。
 そして遺族には「大切な家族の命を奪ってしまった。食事ものどを通らず、夜も眠れなかった日々など、たくさんの苦しみを私のせいで与えてしまい、申し訳ありません」という趣旨の弁明をして謝罪した。

■元少年、遺族の質問に長い沈黙

 被害者参加している将太さんの父親・敏さんによる被告人質問で「なぜ、将太は殺されなくてはいけなかったのか」という問いに、約10秒の沈黙の後、「犯行当時17歳だった私の心境は、(将太さんを)不良グループの1人と思った」と話し、「将太を刺した時にどう思ったのか」という質問には、「『痛い』という声が聞こえたが、何も思わず、(刺すのを)やめようとは思わなかった。死ぬとは思わなかった」と述べた。
 敏さんはさらに「私たち遺族を見て、どう思うのか」という問いには「自分が生きていて申し訳ありません。遺族の苦しみを考えない日はない」と述べたものの、「この裁判が終わったら何をするのか」という質問には30秒近く黙り込み、裁判長から「お答えがないようですが」と問われる場面もあった。男は結局、この質問には答えなかった。

「被告の本音が聞き出せない」閉廷後に会見する堤敏さん<2023年6月8日午後 神戸市中央区>

 前日(7日)、男の父親に対する証人尋問では鬼気迫る表情で、怒りをあらわにした敏さんは、この日は終始落ち着いて質問していた。しかし、「(あなたにとって)償いとは何ですか」と問うと、「悩んで、もがいて、苦しむこと」と答える一方で、「なぜ人を殺してはいけないのか、17歳当時はわからなかった」などと述べる男の発言に、敏さんは明確な答えが得られないとみて、質問を切り上げた。

堤敏さんと三宅勇気弁護士<2023年6月8日午後 神戸市中央区>

 閉廷後に会見した敏さんは「反省の態度もみられず、謝罪にもなっていない」と話した。そして、「真実が何ひとつ明らかにならず、うなづける場面がまったくない」と、正面から向き合っていない被告の態度にいら立ちを見せた。
 敏さんは「本来ならば、被告がこの裁判を経て、罪をどう償うのかが知りたかった。もっと聞きたいこともあっただけに、とても残念だ」と話した。
 同席した遺族代理人の三宅勇気弁護士は、被告の法定内での発言について、「責任能力の程度と殺意の有無という、デリケートな争点ということもあり、言葉を選びながらだったのは想定内だった。そして、被告が犯行時の17歳時点での考え方を強調する点は、裁判員の心証に関わるのではないか」と振り返った。

LINEで送る

関連記事