京都の伝統文化の1つ、「京藍染」の復活に尽力した染師が、京都産『ジャパンブルー』=京藍に魅せられた理由や、今後の展望について、ラジオ番組で語った。
ラジオ関西『としちゃん・大貴のええやんカー!やってみよう!!』2023年6月19日放送回に出演したのは、京藍染師として活動する松崎陸さん。
松崎さんが藍染に興味を持ったのは、大学卒業後に訪れたニューヨークでのある会話がきっかけだという。
「たまたま入ったお店で、日本人である僕に『この服、ジャパンブルーやぞ』と話しかけてくれた人がいたんです。その後、帰国して藍染について知る機会があったのですが、植物100パーセントで染められていて、海外では『ジャパンブルー』と呼ばれていることを知って、面白そうだなと思いました」(松崎さん)
京藍染の産地の1つが自身の地元・京都の洛西であること、一家の家紋が京藍染で染められていたことにも縁を感じたという松崎さん。「原種を畑から栽培して藍の葉を乾燥させると青くなる。他の藍と栽培方法が違う」という京藍だが、大正時代の都市化にともない一度途絶えたのだと知り、京藍を復活させるための活動に踏み切る。
京藍染をやるなら染物の日本一のところで学びたいと、京都に200年続く染織工房「染司よしおか」へ弟子入りを志願。「弟子をとっていないから帰れ」と追い返されるも、くじけず何度も通い、「愛媛県で2年勉強してきたら考える」という言葉を受けて、ためらわずに即実行。西予市の野村シルク博物館での勉強を経て、「25、26くらいのとき、京都に帰ってようやく弟子入りできた」。また、工房にある過去の京藍染に関する歴史・文献を「先生の許可を得て」読み漁り、そこで京都が藍染の始まりだったことなど京藍染の奥深さを知るとともに、藍染の原点にたどりつく。
今では独立し、クラウドファンディングで京藍染色工房を建設。今年に入り、自己ブランド「GROMWELL」を、自身の名である「Riku Matsuzaki」に変更し、京藍染の魅力を発信すべく商品制作に尽力している。
「人類が藍染を始めたのは約6500年前と言われていて、当時は『薬になる』という理由で服に色をつけていたそうです。漢方を煎じて飲むより、漢方で服を染めて病から身を守っていたと。現代人も肌トラブルに悩む人が多いと思いますが、そういう人にこそ(藍染を)知って欲しい」という松崎さん。そんな背景を持つ藍染の他、日本にある多くの色や、色の持つ意味を知ってもらうため、今は中学生を対象に授業も担当。さらに、アート作品を作って海外に出品するなど、京藍染の普及活動に邁進している。
今後の展望について「商品を通じて自然の色を身近に感じて欲しい。また、京藍染を復活させたからには次に残していくという課題もあるので、様々な活動を通して京藍染を歴史に残していきたい」と意気込みを語った。