兵庫県明石市で2001年7月21日、「市民夏まつり・花火大会」の見物客が歩道橋上で転倒し11人が死亡した事故で、遺族らで構成する「明石歩道橋犠牲者の会」が6月21日、解散を発表した。同日、ラジオ関西など報道機関各社へ書面で伝えた。解散決議は4月23日付。
理由として、当初の結成の目的だった明石市や兵庫県警などに対して損害賠償を求めた民事訴訟や、警備担当者の過失を問う刑事裁判を終えたことを挙げた。
事故の教訓を後世に伝えるため、会が事故翌年に朝霧駅と大蔵海岸とを結ぶ歩道橋に設置した「想(おもい)の像」は明石市に寄贈した。
会はこれまでを振り返り、「遺族は、最愛の家族を突然奪われた歩道橋事故について、同じ悲しみに苦しむ家族が二度と生まれないように、真相究明を求める活動に取り組まざるを得ませんでした。民事裁判では、今日の雑踏警備のあり方を改めさせるという役割を果たしました。また刑事裁判では、事故と事件の教訓が生かせる社会を目指して、(司法制度改革としての改正検察審査会法による)4回目の起訴相当議決を経て強制起訴第1号となり、司法改革にも一石を投じました」とコメントしている。
事故から21年を迎えた2022年7月21日には、遺族ら有志が手記や事故の記録をまとめた「明石歩道橋事故 再発防止を願って~隠された真相諦めなかった遺族たちと弁護団の闘いの記録」を出版、発売した。
事故は2001年7月21日午後8時45~50分ごろ、兵庫県明石市の花火大会会場の大蔵海岸と最寄りのJR朝霧駅を結ぶ歩道橋で発生。殺到した見物客が折り重なるように転倒し(群集雪崩)、0~9歳の子どもと高齢者計11人が死亡、247人が負傷した。
不十分な警備体制が問われ、刑事裁判では、2004(平成16)年12月17日に業務上過失致死傷罪に問われた明石警察署元地域官ら5人が有罪判決を受けた。強制起訴された元副署長は、2013(平成25)年2月20日、公訴時効が成立しているとして「免訴(事実上の無罪)」判決を受けた(刑事裁判はいずれも上告審で確定)。
遺族が明石市や兵庫県(兵庫県警)などに損害賠償を求めた民事訴訟は、2005(平成17)年6月28日に計約5億6千万円の賠償を命じる判決が言い渡された。