身重や子持ちの同僚看護師をカバーするのはいつも独身の私 「困ったときはお互い様」と笑顔の上司に心が叫ぶ 「誰か私を労って」「これじゃアンフェアだよ」 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

身重や子持ちの同僚看護師をカバーするのはいつも独身の私 「困ったときはお互い様」と笑顔の上司に心が叫ぶ 「誰か私を労って」「これじゃアンフェアだよ」

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 そんな中、別のリーダー看護師までもが、身重の看護師に「結核の患者は、あなたは見なくていいからね!いーのいーの、こういう患者さんは独り者に任せておけば!」と伝えている声を立ち聞きしてしまう安土さん。「私のフォローなんて誰も評価しないのに、”お互い様”なんて言葉で片付けないでよ……」という安土さんのモヤモヤした心の声で漫画は締められます。

【6/6】独身者の扱いにモヤモヤ……(提供:ソファちゃんさん)

 この漫画には、医療業界で働く独身看護師や男性看護師、別の業界で働く独身者たちからも、多くの共感の声が寄せられました。

「私も子なしの独身だから、コロナ患者が出た病棟の応援に行かされたりします。 子どもがいたら、いつコロナとか熱で休むかわからないし、子なしの独身が一番手っ取り早いと思われてる。応援に行ったからといって手当てはなし。それなのに、子どもが熱で休めば特休扱い。そのおかげでギリギリな人数で、しわ寄せがくるのも独身者!」

「以前、似たような状況だったけど相手から感謝の言葉がないのがきつかった(泣)。 反面教師にして、どんなときも当たり前だと思わず、感謝の言葉を言うようにしてる」

「わかる…… 独身のとき、これだった。 年末年始、お盆はほぼ出勤か夜勤。 犠牲になってる人が評価されてもいい気がするよ」

「男性看護師が一般病棟をすごい勢いで退職する理由がコレなんですよね。絶対妊娠しないスキル持ちなので、永遠に対価がもらえず搾取される運命なのです。 と言っても始まらないので、堂々と対価を要求すべきです。でないと他の人も報われないです」

「男性看護師は、これをエスカレートさせた状態で都合よく使われています。 生理休暇(病欠)、勤務変更、感染対応、暴力対応、力仕事などなど……何十年も。 自分が中間管理職になって気付いたことですが、そもそもそういう職員を評価する査定がないんですよ。同じ給料。同じ評価です」

 漫画を投稿したのは、現役看護師として働きながら、看護現場の限りなくリアルに近いフィクション漫画をSNSに投稿している、ソファちゃん(@sui_gb20)さんです。ソファちゃんさんに、話を聞きました。

ーーソファちゃんさんが看護現場で勤務されている中で、実際に漫画のような発言や不満を見聞きされた経験はありますか?

「逆に私が妊婦で勤務していたときに、同僚から『妊婦だからって他のスタッフと同じように働けないなら出勤してこないでほしい、他のスタッフと同じくらい働ける日だけ勤務してほしい』と言われたことがあります。さすがに他のスタッフと同じようには働けないので困ってしまいましたが、そう思う同僚の気持ちもわからないわけではないな……と思いました。私を助けても、同僚は何か得するわけではないので。何を言われても私に言い返す権利はないし、『生活もあるので、すみません、頑張ります』としか言えませんでした。

 ところが、私がつわりが辛くて点滴に通うようになったとき、『みんなに迷惑をかけたくないので休職したい』と上司に伝えたところ、『もうシフトを作ったので困る。母親なんだから他のスタッフのように耐えて勤務してほしい。休むのは許可しない』と言われてしまいました。それなのに、他のスタッフからは『出勤されても迷惑だから休んでほしい』と言われて板挟みになり、途方に暮れてしまったことがあります」

ーー男性看護師からの共感の声も多くありましたが、ソファちゃんさんの勤務環境ではいかがですか?

「例えばセクハラをしてきたり暴力的な患者が入院された場合、ほとんど男性看護師が担当しています。病院内で暴力や暴言などのトラブル発生が起こったときの緊急コールであるコードホワイトのときは、必ず男性スタッフが招集されますし、何かと危険な場面で前面に立たされてしまっています」

ーーソファちゃんさんは、業務カバーばかりしている看護師への労いとして、どういうものがあったら良いと思いますか?

「言葉での労いは最低限必要かと思いますが、本来なら、サポーターが自ら積極的に交代したいと思える制度設計が必要だと思います。妊娠、介護休暇、病気療養で休職するスタッフがいるなら、サポートする間は手当がつくとか、交代した翌月はたくさん休みをもらえるとか。

 現状では助ける側は何ももらえず、ただ時間や労力が奪われるだけなので、サポーターになってくれる方々へ、給与や休暇など目に見える形で還元する必要があると思います。負の感情が全てサポートしてもらう立場の方へ向いてしまうのは、少し違うのかなと思います。制度が整えば、お互い今よりは気持ちよく助け合って働けると思います」

ーーソファちゃんさんが、看護現場の漫画をSNSへ投稿している思いを教えてください。

「私自身、現在も中堅の病棟看護師として勤務していますが、私が患者さんにフォーカスを当てた絵を描くようになったのは最近で、これまでは避けていました。患者さんの描写・話で笑いを取ったり、衝撃的な姿で注目を集めるようなものは描きたくなかったからです。

 でも、私にとっては別に衝撃でもなんでもないただの日常を、淡々と描いてみようと思うようになりました。医療者になってから、私の普通はみんなの普通じゃないなと思うことがたくさんありました。私の普通とみんなの普通の認識のズレに気付けると、患者さんへの対応や説明も、もっと寄り添ったものになるのかなぁと思い、日常の絵の中に患者さんにもフォーカスを当てたものを描くようになりました。

 繰り返しになりますが、SNSで私の絵を見てくれた方の興味を引きたい意図はなく、私の普通に対して、皆さんが色々思うことをぶつけてほしいと思っています。私にはこう見えたよ、私はこう思ったよ、という感想をたくさんいただけたら嬉しく思います。いつか画集を出すことが私の目標です」

  ◇  ◇

 ソファちゃんさんは、病棟の看護現場のワンシーンをイラスト・フィクション漫画に表現し、Twitter(@sui_gb20)、Instagram(@_sofachang)に投稿しています。ときには心が苦しく目を背けたくなるほどリアルで切ない描写には、病院の日常である生と死、老いと病という普遍的な問いが詰まっています。

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