不眠症のティーンズを描く人気コミックを森七菜・奥平大兼のダブル主演で実写映画化。『君は放課後インソムニア』が全国ロードショー公開中です。
☆☆☆☆
物語の舞台は石川県七尾市。高校1年の中見丸太(なかみ・がんた)は不眠症に悩んでいます。午前0時に布団に入って目を閉じるのですが、眠れないまま時間だけがどんどん過ぎていき、そのまま朝を迎える日々を繰り返しています。学校へ行き、授業が始まる頃になると、いつも強烈な睡魔が襲いかかります。「どうして俺だけが変なんだろう?」ネガティブな感情が頭の中を駆けめぐり、自分ひとりだけが世界から取り残されているような絶望的な気持ちになっています。
学校の清掃の時間。廊下の片隅でウトウトしていた丸太は、掃除をしていたクラスの女子たちに見つかってしまいました。
女子たちは、さぼっていたとして校舎のてっぺんにある天文台から脚立を持ってくるよう、丸太に求めます。この天文台には幽霊が出るという噂が広まっていて、なんとなくみんな天文台に行くのを嫌がっていました。「なんで俺が…」丸太はしぶしぶ天文台に向かいます。
天文台の中は物置のようになっていました。丸太はらせん型の階段をのぼり、天体観測の機材があるスペースに入ります。誰も来る気配がない空間です。「決めた、ここは俺の場所にしよう」昼間、邪魔されずに睡眠をとれる秘密基地を見つけた気分です。
ふと見ると、横倒しになった廃棄ロッカーの中に人影があります。「あぁーッ」そこにいたのは丸太のクラスメイト・曲伊咲(まがり・いさき)でした。
丸太「お前、なんか変じゃないか」
伊咲「変だよ! 夜ぜんぜん眠くならなくてイライラして。昼間ずっと頭痛くて眠くて」
実は伊咲も、不眠症に悩んでいたことが分かります。しかも天文台に幽霊が出る噂は、伊咲が流していました。昼休みになると、この天文台にそっと忍び込み、睡眠をとっていたということでした。
伊咲は陽気な性格で友だちが多いのですが、丸太はいつも無表情で心を許せる友人はひとりだけ。クラスではほとんど話したことがなかった2人ですが、同じ悩みを抱えていました。