また、奥大山ならではの珍しい施設も。奥大山は豪雪地帯に指定され、冬場には2~3メートル以上の雪が積もります、工場では、冬の間に積もった雪を「雪室」とよばれる部屋に貯蔵し、その“冷たいエネルギー”を、工場から出る温排水の冷却などに利用しています。
夏でも白い雪が保管される雪室に入ってみると、ひんやりとした空気が漂う気持ちのいい空間でした。自然の力を活用した、まさに自然共生型の工場であることを実感します。
工場案内係の向田隆宏さんによると、工場にやってくるのは、地元の家族連れや遠方から訪れるカップルなど様々とのこと。来場者からは「ルーツを知って、より安心して天然水を飲むことができそう」といった声の他、「とにかく、山々の雄大な自然に圧倒された」という、工場見学の感想らしからぬ言葉が届くこともあるといいます。確かに、緑の中にそびえる工場が、自然を味方にしておいしさを作り出しす工程は壮大なスケールです。
多くの人の日常に溶け込み、関西のスーパーやコンビニで日常的に目にするミネラルウォーターのルーツが、これほどまでに美しい大自然の中に在ったとは。その生まれた環境を知ると、いつもの「天然水」も少し特別な味わいに感じられるかもしれません。
(取材・文=村川千晶)