神戸発、ジャズの醍醐味を伝え続けるラジオ番組の極意 思いあふれるトークは必聴 「絶対楽しませてみせます!」 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

神戸発、ジャズの醍醐味を伝え続けるラジオ番組の極意 思いあふれるトークは必聴 「絶対楽しませてみせます!」

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――2015年から続くこの番組ですが、ラジオでジャズをしゃべる難しさもあったのでは。

【高橋】 番組を始めるまでは、口で「ジャズってこうなんだ」と説明したことがあまりなく、音では「こうだよ」と(実演)できるのですが……。いまだに説明する難しさはありつつ、だからといって、難しい言葉(専門用語)を使っても分からないもの。「気を遣ってしゃべらなあかんな」というのは、これまでもありました。でも、最近メールなどのリアクションもすごくいただくようになったのはうれしいですね。お客さんがラジオを聴いてから(ライブ会場に)来てくださるのを確実に感じます。これからもちょっとずつでも番組を通じて(ジャズの)楽しみ方が伝わればなと。だから、今、番組をやるのは楽しいですね。

【たなか】 私はボーカルなので、管楽器のこと、彼らがどんなことを考えて演奏しているのかなど(番組出演前は)わかっていないところもありました。でも、2人と一緒に7年にわたって番組をやってきて、かなり管楽器を見る目が違ってきましたし、聴き方も変わりました。この番組を通じて、私はものすごく勉強させてもらっていますし、たぶんリスナーさんも同じ感覚なのではと思っています。

【広瀬】 僕らにとっては、歌詞もそう。りかさんが歌詞の解明みたいなことをしてもらっているので、「ああ!(そうなんだ)」みたいな。それはすごく面白いです。

たなかりか

――改めて、番組でこれまでで最も印象に残っていることは?

【広瀬】 僕は、やっぱりアルバムを出したことかな。曲がたまってきたな、出したいなと思ったら、すごく皆さんが協力してくださってパッと録ることができたのはすごくよかったし、(番組に)育ててもらったなと思います。昔は毎月公開収録をやっていたから、「なんか新しいものを」と毎月(曲を)書いていました。ミュージシャンにとって家で一人で机に向かってアレンジするなど、曲を書くことはそこまで大変ではなくて、難しいのは実演の場を探すこと。でも、それを、みなさんに協力していただいて、いいペースで毎月ライブができたというのは財産ですね。(神戸に)帰ってきてすぐやったりしたし。

【たなか】 とにかく、毎回が印象的な番組です! 3人のキャラクターを番組スタッフはすごくよくわかっていて、次から次へと「よう、こんなの思いつくな」みたいな面白いコーナーを考えてくれます(笑)。それがどんどん加速して、どんどん番組が面白くなってきている感じはありますね。

初回放送のようす
ジャズ番組“らしくない”、笑いの絶えないスタジオのようす

――近年のコロナ禍を経て、ジャズの世界でも以前と変わってきたところはありますか。

【広瀬】 (ジャズの)お店とかもなくなったりしたので、それは大変だなと思うのですが、一方で、ジャズの表現の場というのも変わっていくんじゃないかなと。既存の感じ、プラス、新しいタイプのジャズクラブなどもでき出しているので、そういうところにもいろんなことが移行していくのかなと思います。あとは、昔と違って、確実にインターネット、SNSなどが発展しているから、ジャズというマイノリティーの音楽でも注目されやすくはなっているように感じます。昔はほぼテレビしか情報源がなく、テレビで見られた情報から音楽を知っていたのが、今はInstagram(などSNS)で全然見たこともないようなミュージシャンが急にバズったりするので。それはいい傾向なのかなと思っています。

――たなかさんも、実際に歌われたとき、距離感など、コロナを経て変わってきたところはありますか?

【たなか】 この前、本当に久しぶりに、お客さんに歌ってもらうみたいなことがあり、(会場のみんなで)ワーッと歌う瞬間があって、「あ、ここまで来たな、戻ってきたな」と感じました。みんなが(ライブハウスなど)近いところに座っているなかで大声を出すというのが、やっぱり怖かったり、迷惑かもと思う気持ちが強かったところが、だんだんと前みたいな盛り上がり方ができるようになったので。そういう意味では、いろいろ形態も変わってきたけれども、そういう本来のジャズライブらしい盛り上がりみたいなのは返ってきたかなと思います。あと、配信がコロナ禍ですごく発達しましたよね。コロナが終わりかけていても配信は残っているので、関西でライブなどをやっても、それを配信して、どの地域にいる人にも聴いていただける。それはやっぱりコロナ(で新たに生まれた伝え方)のおかげ。「あ、そんな方法あったんや」みたいな。これまでちょっとタブーだったような感じのものがオッケーになり、なんとなくいいところだけを残して(現在から未来へ)進んでいるなみたいなところはあるかもしれないですね。

――それでは最後に、神戸ジャズ100周年のイベントや、このインタビューを通じて番組に触れる方に、『KOBE JAZZ-PHONIC RADIO』の「聴きどころ」を教えてください。

【高橋】 いろんなジャズ番組のなかでも「他にはない(内容)」というのが大前提であり、ジャズを知らない人でも「ちょっと面白いやん」という、そのきっかけになるポイントがたくさんあると思うんですよね。全然ジャズのことを知らなくても「絶対楽しませてみせます!」というような気持ちで、個人的にはいつも収録はやらせてもらっています。だから、ジャズ好きでもそうじゃなくても楽しめる番組というのがアピールポイントかな。

【たなか】 (オンエアでは)めちゃくちゃ笑っているんですが、かなりマニアックなこともしゃべっていたり、実はけっこう真面目な内容なんです。サックスプレイヤーだから、ボーカリストだから、トランぺッターだからこそという(プロの)私たちにしかできない会話もたぶんしているので、一見難しそうに思えるかもしれませんが、この番組を聴くと全然難しくは聴こえていないと思います。ジャズを「全然わからん」と思っていた人も、たぶん3週ぐらい聴くと、だんだん聴き方がわかってくるのかなと。前の会話が長くて曲を30秒ぐらいだけかけて終わりとか、そんなことをやっている番組はほかにないですし、「それでもいいんです」という番組でもあるので。そういう楽しみ方もしてもらえたらうれしいなと思います。

【広瀬】 りかさんの言ったことと僕の思いはすごく近いですね。曲もあまりかからないし、30分ぐらいしゃべったりするし……。でも、それって逆にニーズにあっていると僕は思うんです。なぜかといえば、今は、サブスクなどでいつでも(曲を)聴ける時代になったから。そうなると、僕たちは、「この曲、実はトランペットが難しくてね……」「歌が難しくて……」など、その曲に対する思いをもっと伝えていった方がいいのかなと。そのほうが、リスナーが曲を聴く導入になったり、(ジャズに)もっとハマるのではと思っています。なので、聴きどころは僕たちのトーク! そして、ジャズへの思いを聴いてもらえればうれしいです。

――これからも番組のトークはもちろん、ステージなど様々な現場での演奏を楽しみにしています。

【広瀬】 ぜひ! 今年はラジオ関西まつりのステージや、神戸ワイナリーでのイベントなども予定されていますので、ぜひ聴きに来てください!

写真左から、広瀬未来、たなかりか、高橋知道
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