「遠慮のかたまり」は関西だけ!? “お皿に残った最後のひとつ”に地域性 中でも青森県は殊に独特 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

「遠慮のかたまり」は関西だけ!? “お皿に残った最後のひとつ”に地域性 中でも青森県は殊に独特

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 大皿料理などの最後の1個や、1つだけ残ったお菓子などを「遠慮のかたまり」といいますが、どうやらこれは関西を中心に使われる表現なのだとか。関西出身の筆者は全国共通だと思っていたのですが、地域によってさまざまな呼び方があると知り、東京女子大学で社会言語学・方言学を専門に研究する篠崎晃一教授に詳しい話を聞きました。

◆見栄をはっている? 「関東のひとつ残し」

 関東圏を中心に使われている「関東のひとつ残し」という表現。あえてひとつ残してお皿を空にしないことが、見栄をはっている江戸っ子の気質を表しているのではと推測されるのだそう。ちなみに、篠崎教授は関東圏の千葉県出身であるもののこの表現には馴染みがなく、「最後のひとつ」を示すほかの表現も身近にはないといいます。

◆ほかの地域は?

 新潟県の「新潟のひとつ残し」「越後のひとつ残し」、長野県の「信州人のひとくち残し」は地元で使われている表現なのだとか。ほかにも、佐賀県「佐賀んもんのいっちょ残し」、熊本県「肥後のいっちょ残し」などがあり、「地域名+ひとつ(いっちょ)残し」の組み合わせは全国的に広く使われていることがわかりました。

◆青森県では「津軽衆」と呼ぶ

 さまざまな呼び方があるなかで「独特の表現がおもしろい」と篠崎教授が紹介してくれたのは、青森県などの津軽地方で使われている「津軽衆」という表現。この表現が生まれたのは、寒い地域ならではの“県民性”が背景にあるのだとか。

 厳しい寒さから食糧が少ないときには互いに分け合う文化のある津軽地方の人々は自分たちを“遠慮深い”と認識しているそうで、「遠慮深い県民」という意味を込めて自らを「津軽衆」と呼んでいるのだそう。篠崎教授いわく、津軽の人々は「お皿にひとつ残すこと」=「遠慮深い人の行動」と考えていることから、お皿に残ったものも「津軽衆」と表現したのではないかといいます。

 一方で、最後の1つを“あえて”食べる人の勇気をたたえた「津軽の英雄」というユーモラスな表現も存在するのだと話してくれました。

 関西では、大勢で食事をした際などに「“遠慮のかたまり”だから食べて」とすすめられることも多いですが、このひと言があるだけで食べる人の罪悪感が軽くなる気がします。“残った最後のひとつ”。地域ごとに表現の違いはあれど、どの呼び方にも背景には他人への気づかいがあり、そこに日本人らしい優しさを感じますね。

(取材・文=市岡千枝)

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◆東京女子大学
【篠崎晃一教授紹介ページ】

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