女子サッカー・WEリーグのINAC神戸レオネッサは6月末に、主力3選手の他クラブへの移籍を発表した。そのなかで、高卒から約8年半にわたってクラブ一筋で活躍してきたMF伊藤美紀選手(27)は、2022-23シーズンWEリーグ覇者の三菱重工浦和レッズレディースへ完全移籍が決定。このオフシーズンの国内女子サッカー界でも大きな目玉となるような移籍となり、INAC神戸サポーターも大きな衝撃を受けていた。
青森県出身、女子サッカーの名門・常盤木学園高校を経て、2014年からINAC神戸に加わった、伊藤選手。150センチと小柄ながら、技術の高さ、力強さ、器用さ、豊富な運動量を持ち合わせ、現在はボランチがメインながら、前線からサイド、センターバックもこなせるオールラウンダーとしても活躍。チームには貴重な存在だった。2015年度の皇后杯では澤穂希さんと最後にボランチを組んでカップ戦優勝も経験。その後もめきめきと成長を遂げ、WEリーグ最初の優勝にも大きく貢献し、22-23シーズンも全試合出場を達成。チームリーダーの1人だった背番号6は、そのルックスやキャラクター、真摯な姿勢でも人気を博していた。
“イトキン”の愛称で親しまれた伊藤選手は、クラブを通じて長文のメッセージコメントを発表。「いろいろなことを考え、悩み、葛藤しました。もっと上手くなりたい、成長したい。自分自身のサッカーに対する気持ちと向き合った結果、新しい環境でチャレンジしたいと思い決断しました」と移籍の理由を明かしていた。また、「ファン、サポーターの皆様には直接お伝えすることができず、このような形でのご報告となり申し訳なく思っています。どんなときも私たちの背中を押して下さり、一緒に戦ってくださった皆さまの存在はとても心強く、いつも支えられていました」、「8年半お世話になりました。新天地でも自分らしく頑張ります。本当にありがとうございました」と、感謝の思いをつづっていた。
女子サッカー・WEリーグのINAC神戸レオネッサを応援するラジオ番組『カンピオーネ!レオネッサ!!』(ラジオ関西)にも、伊藤選手の移籍についてメッセージが寄せられ、「一瞬、なんのことかのみ込めず、その後、思わず『嘘やーん』と声を出してしまった」、「伊藤選手のライバルチーム、浦和への移籍はインパクトがかなりある話」、「生え抜きのイトキンがまさか……」と、ファン・サポーター・リスナーは驚きとともに、悲しさ、寂しさをもって今回の知らせを受けていた様子。
それでも、「移籍は寂しいが、相手さんからウェルカム感をもって迎えられるのはうれしいこと。いまは娘を嫁に出す心境」、「こればかりは選手の人生、次の浦和でもぜひがんばって活躍してほしい」など、新天地での活躍を願うサポーターのメッセージも目立った。
また、番組パーソナリティーも務める元なでしこジャパン(日本女子代表)DF川上直子氏は、「イトキンちゃんはかわいらしいし、ファンも多かった。長い間、神戸でがんばったが、浦和に行こうと決断した。浦和も中盤にけっこう人(タレント)が多いのに、そこに割って入っていくわけだから、その勇気と思いを尊重してあげたい」とエールを送っていた。
なお、INAC神戸は、元なでしこジャパンMF増矢理花選手(27)ら3選手の獲得も発表。2020年以来のINAC神戸復帰となる増矢選手は「一度チームを離れたのにも関わらずオファーをしていただき、感謝の気持ちでいっぱいです。チームの勝利のために全力を尽くします」と意気込みを述べている。2023年7月1日現在のINAC神戸移籍情報は次のとおり。