斬新なものとしては「めおとスーツ」を打ち出しました。夫婦で来店し、互いに採寸し合って“愛してる”“大好き”といった誓いの言葉を赤い糸で刺しゅうすると、二着を一着分の価格でオーダーできる企画です。また、「メダル割」は、自宅に眠るメダルや賞状を持参すると、その数に応じて割引を受けられるといった具合。なかには、割引率を上げすぎて冷や汗をかいた企画もあるそうです。
歴史や伝統を重んじるオーダースーツ業界で、庶民的な感覚のユニークなキャンペーンを打ち出し続ける岸さん。あえて“ふざけ”続けているのだといいます。その理由を岸さんは「普通のサラリーマンや若者にこそ、オーダー自体を楽しみながら、自分に合ったスーツで毎日を快適に過ごしてほしい」との思いだと明かしました。難しそう、高級そうといったイメージがあるオーダースーツのハードルを下げ、「ここなら行ってみたい」と気軽に来店できる専門店を目指しているのだそうです。
そんな岸さんのキャンペーンづくりには“鉄則”があります。それは、単に品質や価格面で得なだけではなく、家族や夫婦間、上司や部下とのコミュニケーションのきっかけにもなるような企画にすること。
「通勤中や移動中に、新たなキャンペーンについて頭をひねることが習慣になっています。これからも、関西らしくて、オーダースーツ専門店らしからぬ楽しいキャンペーンを打ち出していきたいです」と、4代目は意欲を言葉にしました。
※記事内に記載したキャンペーンは、現在は行われていません。
(取材・文=村川千晶)