兵庫県北部にある人口2万人弱のまち、香美町が、職員の確保に苦戦している。ここ数年は民間企業が好調であることから「公務員離れ」が進んでいて、採用試験の受験者数は減少。職種によっては募集をしても応募がないケースもあり、このままでは、職員間でのノウハウの共有がうまくいかず、住民サービスの低下につながる懸念がある。
直近15年間で、一般事務職(社会人経験者を除く)の受験者数は、08と15年の36人が最多。22年は8人にとどまり、社会人経験者の採用はゼロ。専門職はより深刻で、土木職は22年、3次募集まで実施し、ようやく4年ぶりの採用に至ったものの、保健師は15年、社会福祉士は18年を最後に1人も採用できていない。
23年度の採用試験からは、保健師と社会福祉士の第1次試験では教養試験を廃止し、より専門性と人柄を重視。また、土木職を加えた3職種の1次試験を約2か月早め、他の自治体より先に人材の確保をねらうなど工夫を凝らす。
民間企業のように金銭面での待遇強化を打ち出すことは難しいなか、役場内で部署横断型のプロジェクトチームが5月に立ち上がった。若手からベテランまで8人が手を挙げ、事務局の職員を加えた9人で、週1回以上のミーティングを行い、その様子はホームページで公開している。
このほど、町内外向けに2種類のポスターが完成。どちらも黄色の背景に黒色の大きな字で「香美町役場で、働こう。」とシンプルに記し、目を引くデザインに。特に町外向けには、「香美町って何て読むの?」「どこにあるの?」と、興味を持ってもらう内容にした。チームリーダーの木原弘一郎さんは、「町としてはこれまでにない取り組みで、一人でも多くの人が『香美町を受けてみよう』と思ってくれると嬉しい」と話す。
7月17日は、初めてオンラインと現地の両方で採用説明会を実施する。全ての職種を対象とした募集の受付は8月4日まで、1次試験は9月17日に行われる。