「母子健康手帳」 11年ぶりのリニューアルに“賛否両論”? 変更後のポイントを専門家が詳しく解説 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

「母子健康手帳」 11年ぶりのリニューアルに“賛否両論”? 変更後のポイントを専門家が詳しく解説

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 今年4月、母子の健康状態や予防接種の状況などを記録する「母子健康手帳」がおよそ11年ぶりにリニューアルされ、大きな話題になりました。変更のポイントや、現場での使用者の声について『産前産後ケアホテル ぶどうの木』スタッフの齋藤樹奈さんに聞きました。

母子健康手帳

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 母子健康手帳は原型である「妊産婦手帳」から始まり、日本で80年近くママとその家族に愛用されてきた“親子のしおり”です。厚生労働省によると、妊娠期から乳幼児期までの健康に関する重要な情報が一つの手帳で管理でき、異なる医療機関を受診した場合でも継続性・一貫性のあるケアを提供できるといったメリットがあるとされています。全国統一の記述の他にそれぞれの地域の特色に合わせて独自の制度などを紹介することができ、各市町村によって異なるページも存在するといいます。

 基本的な役割は変わらないものの、社会情勢の変化に合わせ10年に1度ほどのペースでリニューアルされ続けている母子健康手帳。齋藤さんによると、今回の一部改定は「デジタル化が進む世の中に対応するため」という目的もあったそうです。現在はほとんどが紙で管理されていますが、自治体によってはアプリでの管理もできるようになるなど様式は進化しているそうです。

 リニューアルにおいて特に話題になったのは、最近多くの女性が悩む“産後うつ”に関する記入欄が設けられたこと。また、パパや家族が赤ちゃんを迎える気持ちを書くページも追加されたことです。齋藤さんによると、この変更については「実際に出産する女性だけでなく、男性も妊娠や出産に自分ごととして参加しやすくなる」といった好意的な意見が見られる一方、「母子の健康を守るという目的からずれる」「体重などの情報を父親に見せたくない」といった声も挙がるなど、さまざまな議論を呼んでいるそうです。

「産前産後ケアホテル ぶどうの木」広報の齋藤樹奈さん・火曜パーソナリティのウラリエさん
「産前産後ケアホテル ぶどうの木」広報の齋藤樹奈さん・火曜パーソナリティのウラリエさん 母子健康手帳

 リニューアルにあたり、父親の育児参加を促すため「母子健康手帳」から「親子手帳」などにしたほうがいいのでは……と名称変更の議論も行われたといいます。しかし主な目的が母親の妊娠期を支援するためであることや、すでに表紙に「親子」などの言葉を併用する自治体があったことなどから名称の変更は見送られました。

「母子健康手帳をよく読んで丁寧に記入していくことで、行政や医療機関とスムーズに連携して親子の心身の健康を守ることができます。子供が大きくなった後にも『こんなことがあったな』と読み返せば、育児のヒントになることもあるので“家族のダイアリー”として大切に保管して下さい」と齋藤さんは話していました。

※ラジオ関西『Clip火曜日』「3435(さんぜんさんご)ぷろじぇくと」2023年6月27日放送回より

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