ダークサイドに落ちて…「気持ちいい役」 文楽の竹本織太夫インタビュー 22日からの夏休み公演前に | ラジトピ ラジオ関西トピックス

ダークサイドに落ちて…「気持ちいい役」 文楽の竹本織太夫インタビュー 22日からの夏休み公演前に

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 声のコンディションを維持するために手洗いとうがいは頻繁。「人の5倍くらいやっていると思う」。乾燥を防ぐ目的で、20分に1回は口に水を含むという。だが「喉を過保護にはしないんです」とくり返す。

「僕たちは声で人の心や感情をあらわにする。声帯に負担を掛けない発声法では、人生を語れないと思っている。そう思っているから、僕は、喉を過保護にせず、自分の最高水準の技術と芝居心を持って、お客様に浄瑠璃を語りたい。先代や先々代と同じく、明日のない舞台を務めていきたい」。一言一言、丁寧に言葉を選ぶ。

 気持ちが折れることは?と質問すると「折れてる暇がないです。折れても疲れ果てて寝る」と即答。「舞台のために日常がある。良い舞台を作るためにあらゆるものをセーブしている。舞台だけでなく、(文楽)普及の取り組みや後進育成もしないといけない。僕に課せられたミッションは多い」。多忙な日々だが「僕、単純でね。ごひいきの皆さんに褒められると、怒っていても忘れてしまう」のだそう。「ミナミを自転車で走っていると『織さん、応援してるで』と知らない人が声を掛けてくれる。黒門市場では、果物屋も漬物屋も頼んでないもんまで入れてくれる。ええ街です」。顔をほころばせる。

「声帯に負担を掛けない発声法では、人生を語れない」と話す織太夫
「声帯に負担を掛けない発声法では、人生を語れない」と話す織太夫

 これからの目標を2つ、教えてくれた。

 1つは、国立文楽劇場を毎日大入りにすること。「『やっぱり地元やなあ、文楽劇場はいつもいっぱいやなあ』と言われたい」。

 もう1つは、自身のルーツに根ざした夢だ。歴史をさかのぼると17世紀、初代竹本義太夫が創設した人形浄瑠璃の劇場「竹本座」は人気を集め、隆盛を極めたものの、1767年に閉鎖。その後、初代竹本綱太夫(「織太夫」は伝統的に、将来、綱太夫の襲名が期待される名前)が竹本座を再興した。

「香川県琴平町にある芝居小屋「金丸座」(重要文化財。正式名称は「旧金比羅大芝居」)は、かつての『竹本座』の後継の劇場を模して作られたもの。縁のある金丸座で、竹本座に関係のあるメンバーたちと、ゆかりの演目を上演する『令和竹本座構想』を実現したい」。

 ますます忙しくなりそうだ。

インタビューを終えて。小雨の中、自転車でさっそうと劇場を後にした
インタビューを終えて。小雨の中、自転車でさっそうと劇場を後にした

☆☆☆☆☆

◆「夏休み文楽特別公演」
会場:国立文楽劇場 〒542-0073 大阪市中央区日本橋1丁目12-10
日程:7月22日(土)~8月13日(日)[8月1日(火)休演]
第1部「親子劇場『かみなり太鼓』『西遊記』」 午前10時半開演
第2部「名作劇場『妹背山婦女庭訓』四段目」 午後1時半開演
第3部「サマーレイトショー『夏祭浪花鑑』」 午後6時半開演
観劇料:第1部4,800円、学生2,400円、18歳以下1,900円/第2部1等6,500円(学生4,500円)、2等3,800円(学生同額)/第3部1等5,000円(学生3,500円)、2等3,800円(学生3,500円)
予約・問い合わせ:国立劇場チケットセンター0570(07)9900

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