シンガーソングライターの川嶋あいがパーソナリティーを務めるラジオ番組『明日への扉〜いのちのラジオ+〜』(ラジオ関西、毎月第1・2週日曜午後5時〜)。8月13日の放送では、人気ラジオ番組『オールナイトニッポン』(ニッポン放送)のプロデューサーを務める冨山雄一さんがゲスト出演。業界を取りまく環境の変化や思いを語った。
大学卒業後、日本放送協会(NHK)に入局し報道番組やバラエティーの制作に従事した冨山さん。その後、「オールナイトニッポンに関わりたい」という気持ちを抑えきれず2007年にニッポン放送へと転職。『オールナイトニッポン』の40周年・50周年プロジェクトへの参加を経て、2018年に同番組プロデューサーに就任した。
同番組のほか、NHK時代にも冨山さんが担当する番組に出演したことのある川嶋は「何度もお会いしてお世話になった日々があるので、自分の番組にゲストとしてお越しいただいて2人で話す機会ができたということが信じられなくて、うれしいです」と感無量だ。
学生時代から、ニッポン放送や文化放送などのAMラジオを聴いていた冨山さん。なんとなく窮屈(きゅうくつ)さを感じる生活のなかで、ラジオには「聴いているだけで気持ちが軽くなる」感覚を覚えていたという。その思いはやがて、「AMラジオで仕事がしたい」という夢へとつながった。
「ラジオは“目の前のひとり”を救えるような気がしている」と語る冨山さんだが、その実感を得られるようになるまでの道のりは決して平坦ではなかった。
ニッポン放送への転職直後は「ニコニコ動画」などの動画配信サービスが台頭してきた時代でもあり、「『どうすればラジオを聴いてもらえるのか』と悩んで苦しかった」と当時の思いを吐露。「どれくらいの人たちに届いているのだろう」と模索の日々が続いたという。
そんな状況を変えたのが、インターネットラジオサービス「radiko(ラジコ)」の登場とTwitter(現、X)をはじめとしたSNSの普及だった。ラジコによってより気軽に聴取できるようになり、SNSによって番組の感想をリスナー同士で共有できるようになった。
冨山さんは「ラジオの中身自体はそんなに大きく変わってはいない」と話したうえで、これらツールの存在によって「ひとりで孤独に聴くものだったラジオが、顔も知らない人たちと共有できるほどに共感力が高まった」と持論を述べた。