確かに昭夫から見て母・福江の様子は違和感がありました。いつも割烹着姿だったはずなのに、華やかな洋服を着てボランティア活動を楽しんでいます。牧師の荻生先生もこのメンバーで、福江は先生に恋をしていたのです。
「やめてくれよー、もう!」
人事部長の仕事、妻との離婚問題、娘との関係、息苦しい毎日を送る昭夫の悩みがまた増えました……。
それぞれ別々に生活していてしばらく会っていなかった母と息子が、久しぶりに会う場面から始まる物語。メガホンを取るのは、91歳の山田洋次。今作が監督90本目です。
主演は吉永小百合。下町に暮らす母・福江を演じます。山田監督・吉永主演の『母べえ』『母と暮らせば』に続く「母」3部作の3作目です。息子の昭夫役は大泉洋で、山田監督作への出演、吉永との共演ともに初めてです。他に、福江の孫で昭夫の娘が永野芽郁、昭夫の親友役は宮藤官九郎、福江が恋をする牧師が寺尾聰です。
原作は、劇作家で演出家の永井愛の戯曲で、2001年と2004年に舞台で上演されました。2007年にはテレビドラマとして放送されました。山田監督は舞台で初めて上演された当時、映画化しようと計画しましたが、このときは実現しませんでした。それから20年経ったおととし、監督が頭のなかで組み立てたあらすじを吉永に話したところ、「もし映画化するのであれば、是非、やらせていただきたい」とその場で応じたそうです。吉永は映画出演123本目です。
劇中歌として、サザンオールスターズの『涙のキッス』が印象的な場面で登場します。
息子の昭夫は、会社と親友、妻と娘の間で板挟みになって苦しみます。母親の福江も息子や孫の生活を気にかけ、自分の恋心に戸惑いながら葛藤します。登場人物の心模様をていねいに描きながら、現代の幸せとは何か、家族とは何かを問いかける人間ドラマです。映画『こんにちは、母さん』 は、9月1日(金)公開です。(SJ)
◇映画『こんにちは、母さん』
※上映日程は、作品の公式サイト・劇場情報でご確認ください。
出演:
吉永小百合 大泉洋
永野芽郁 YOU 枝元萌 / 加藤ローサ 田口浩正
北山雅康 松野太紀 広岡由里子 シルクロード(フィッシャーズ) 明生(立浪部屋) 名塚佳織 神戸浩
宮藤官九郎 田中泯 寺尾聰
原作:永井愛
脚本:山田洋次 朝原雄三
音楽:千住明
監督:山田洋次
配給:松竹
(C) 2023「こんにちは、母さん」製作委員会