万国博覧会に出された仏教関係の展示物などから、近代における仏教のイメージとその変遷を考察する展覧会「万博と仏教―オリエンタリズムか、それとも祈りか?」が高島屋史料館(大阪市浪速区)で開かれている。12月25日(月)まで。
万博と仏教にまつわる資料約60点を「万国博覧会の歴史と仏教」「大阪万博と仏教」の2章に分けて構成。第1章の目玉は、1851年のロンドン万博から1970年の大阪万博まで、各地で開催された万博についてまとめられた年表で、仏教に関連するものが博覧会でどのように披露されてきたかについて、順を追ってたどることができる。
近代の万博はイギリスやフランス、アメリカなどキリスト教徒の多い地域で開催されてきたため、仏像をはじめとする仏教関係の展示物は信仰の対象ではなく、オリエンタリズムを演出する美術品としての役割を担っていた。同章では、その例として、1873(明治6)年のウィーン万博に出展された鎌倉の大仏模型(頭部のみ)のエピソードやシカゴ万博(1893[明治26]年)で「日本館」として建てられた、平等院鳳凰堂を模した「鳳凰殿」の写真などをパネルで展示。
第2章では、1970(昭和45)年大阪万博にまつわる貴重な品々を公開。会場中央には、大阪万博を振り返る異空間のようなスペースがしつらえられ、同万博日本館でお披露目された「薬師寺東院堂『聖観世音菩薩立像』(模造)」や開催時、会場で実際に使用された常滑焼のいす『月の椅子』などが並ぶ。そのほか、東大寺の七重塔を模倣した高さ86メートルの「古河パビリオン」や全日本仏教会が出した休憩所「法輪閣」、万博終了後に長野県諏訪市霧ヶ峰に移築、寺の本堂となった「ラオス館」、同様に神戸市北区広陵町に移され、地元の自治会館に生まれ変わった「カンボジア館」などについても紹介。