運転時の視野や眼の動きを家族とチェック 神戸の病院が取り組む視野障害者向け“運転外来” | ラジトピ ラジオ関西トピックス

運転時の視野や眼の動きを家族とチェック 神戸の病院が取り組む視野障害者向け“運転外来”

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 神戸市立神戸アイセンター病院にある「運転外来」は、視野に障害を抱え運転が不安な人たちが相談できる全国に3カ所しかない外来だ。ここでは眼の治療のほか、視野障害と交通事故の関係性についての研究が行われている。神戸アイセンターにおいて運転外来の普及に向けた、眼科向けドライブシミュレーターの事業展開を模索する株式会社ビジョンケア(神戸市中央区)の寒重之さんに話を聞いた。

 株式会社ビジョンケアは理化学研究所でiPS細胞の研究をしていた高橋政代さんが、研究を事業化することを目的として2017年3月に設立。そして、同年12月には神戸アイセンターが開設した。ここには神戸アイセンター病院での診察・治療を中心として、iPS細胞を使った再生医療など最先端の研究開発を行う企業や研究施設、治療後のリハビリや視覚障害者に情報提供を行う福祉施設などが集っている。

株式会社ビジョンケア(神戸市中央区)の寒重之さん
株式会社ビジョンケア(神戸市中央区)の寒重之さん

 神戸アイセンターの中を歩いていると、右側に何があるのかといった音声ガイダンスが流れる。「適切な情報の提供があれば、視野障害のない人と一緒の行動ができるということを体験できるようになっています」と寒さん。

 視野障害のある人のための「運転外来」では、視野障害と交通事故の関係性についての研究や運転についての助言や指導を行っている。そして同社はこの運転外来の普及に向けた、眼科向けドライブシミュレーターの事業展開に取り組む。

ドライブシミュレーターの様子
ドライブシミュレーターの様子

 生活上の必要があって運転をしたいと考える人は多いが、自分の状況と運転のリスクというのがなかなか一致しないことが多い。ドライブシミュレーターではアクセルやブレーキの反応のほか、運転中の眼の動きを記録。信号機と同時に対向車・歩行者が見えているかなどを確認でき、運転する際の注意点や運転免許を返納した方がいいのかといったアドバイスをもらえる。

 運転外来は運転をやめさせるためのものではなく、自分の見え方を自分自身で把握したり家族に理解してもらうためのもの。視野障害のある人がどこまで見えづらいかを家族に伝えることはなかなか難しいが、ドライブシミュレーターを利用することでどれくらい見えづらいのかを可視化することができる。

 運転外来の予約をするためには、主治医の先生から神戸アイセンター病院に運転外来を希望していると紹介をしてもらい、その後神戸アイセンター病院で運転外来の予約をとるという流れになる。

「視野障害が視野の中心ではなく、周辺にある場合にはなかなか気づきにくい。若くして発症する人もいるので、若いから安心ということではもちろんない。視野に対する不安がある場合には、まずは近くの病院へ相談して下さい」(寒さん)

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