女子サッカーの国内プロリーグ・WEリーグの新シーズンが今秋から開幕しますが、それに先立って「WEリーグカップ」が8月26日からスタート。スペイン人のジョルディ・フェロン監督を迎えて新体制を整えたINAC神戸レオネッサは27日、大宮アルディージャVENTUSとのアウェイ戦に臨みましたが、1-4と大敗し、初陣を勝利で飾ることはできませんでした。この試合について、ラジオ番組で振り返った元なでしこジャパン(日本女子代表)DF川上直子氏が感想を述べ、若手選手に奮起を促しました。
女子W杯でのなでしこジャパンの奮闘ぶりも冷めやらないなか、さらなる飛躍が期待されるWEリーガーたち。今後新たに代表メンバー入りを狙う選手や、これから出番をつかみたい若手にとって、WEリーグカップは大事なアピールの場となります。
これまでのWEリーグ2シーズンでは優勝、2位という成績を残してきたINAC神戸は、今シーズンも上位争いが期待されるチーム。今回、新監督のもとで初の公式戦となりましたが、GK山下杏也加選手、DF三宅史織選手、DF守屋都弥選手、FW田中美南選手は、女子W杯から間もないこともあって、コンディションを考慮してWEリーグカップ初戦を欠場。そのため、大宮V戦のメンバーは、20歳以下が4人並ぶなどフレッシュな陣容になりました。また、MF増矢理花選手、MF北川ひかる選手、DF松原優菜選手、MF林愛花選手の新加入組もそろって先発に名を連ねました。
試合では序盤から流れをつかめずにいると、元チームメイトで大宮VのMF仲田歩夢選手にミドルシュートを叩き込まれるなど、前半だけで3点を先行される苦しい展開。後半、この日キャプテンマークをつけていたMF成宮唯選手のゴールで一矢報いますが、終了間際にも失点し、対大宮V戦では公式戦初黒星。INAC神戸での公式戦初出場初先発となった林選手、GK戸梶有野里選手、FW桑原藍選手にとっては、ほろ苦いデビュー戦となりました。
8月28日放送のラジオ関西『カンピオーネ!レオネッサ!!』に出演した川上氏は、「チャンスをもらった選手たちがどう(試合に)入っていくかとみていたが、前半がスタートして、ちょっとやばいなと感じた。どこがやばいかというと、中盤、ボランチの辺りでなかなかボールを引き出せない。真ん中を通せないので(攻撃が)外回りになり、相手はまったく怖くない。プレッシャーを受けたらボーンと蹴ってしまう。見ていてとてもつまらない。今までやってきたサッカーとかけ離れていた」と、苦杯をなめたINAC神戸を一刀両断。
「一番の不満は、もっとアピールしようよということ。(出番を得て)チャンスなのに……。自分の足元にボールがきました、前に敵がいますとなったとき、すぐ後ろに返してしまっていた。失敗してもいいじゃない。安パイなプレーではなく、『なんか見せよう』という強気なプレーを若い選手にしてほしかった。だからこそ、個々のパフォーマンスで不満が残った一戦だったように思う」と、新たに出番を得た選手たちを含め、消極的なプレーを行っていたINAC神戸を一喝していました。
それでも、北川選手、増矢選手、成宮選手ら代表経験がある選手たちは、それぞれ存在感を示していたという、川上氏。特に成宮選手については、「彼女は試合が始まったときから、『これじゃだめだ、どうしたらいいんだろう……』と考えながらやっているのが見えたし、試合が終わったときに泣きそうな顔をしていたのが印象的だった。悔しいのと、代表不在で自分が何かできなかったのか、もっと存在感を持って何か若い子たちを引っ張っていけたらとか、いろんな思いがあったと思う」と、おもんぱかるコメントも。
「彼女は次の五輪に行きたいと思っているはずだし、負けているチームからは(代表)選手もなかなか選ばれないもの。今回の(女子W杯に出た)なでしこジャパンも(WEリーグの選手は)上位からがほとんど。なので、いろんな思いを持って戦っているし、気持ちがプレーに出ているのは見ているほうとしても応援したくなる」と、孤軍奮闘したINAC神戸の10番にエールを送っていました。