神戸市と明石市は、生物多様性を守り育て、豊かな自然を次代に引き継いでいくための連携協力に関する協定をこのほど結び、両市長が神戸市役所で会見した。
隣り合う神戸市と明石市は、川や海、山などがつながり、多様な自然を共有する環境にある。両市はこれまでも外来生物アカミミガメの防除などについて、ともに取り組んできた。
今回の協定は、自然環境とそこに住む在来種の保全、生態系に悪影響を与える外来種への対策、自然観察会やフォーラム、外来種防除講習などの開催、生物多様性に関する調査研究、ビオトープの整備などについて協力して進めることを目的としている。
連携するメリットについて、神戸市の久元喜造市長は「生物保全団体のネットワークが広がることによって、知識や経験を共有できる。研究や活動内容も深まる」、明石市の丸谷聡子市長は「自然の生き物に境界線はなく、両市の生態系は一体。共通する大事な生き物がいることを市民に知ってもらえたら」と期待。当面のスケジュールとして、年内に両市で1回ずつ、生物多様性に関するシンポジウムを開く方針を示した。
協定締結は、先月18日、丸谷市長が自身の就任あいさつのため神戸市庁を訪れ、久元市長と話したことがきっかけ。その経緯について両市長は、「アカミミガメの話から発展して、生き物の多岐にわたる話題につながり、情報交換しよう、いっしょにやろうということになった」(久元市長)、「久元市長は自然に造詣が深く、私が20年近くやってきたことを言い当てるようにおっしゃっていて驚いた。同じ思いがたくさんあり、話が弾んだ」(丸谷市長)とそれぞれ話した。
久元市長は「市民の皆さんの意見を聞いて活動や連携に反映させたい」とし、今後の活動に「生物の保全のみならず、スマホなどの影響でリアルな世界から遠ざかっている子どもたちに、五感を使って自然に親しんでもらいたい」と願いを込めた。