ラグビーの世界一を決める大会、「ラグビーワールドカップ 2023 フランス」が、いよいよ現地時間の8日(日本時間9日早朝)から開幕します。今大会のラグビー日本代表の展望について、元日本代表監督がラジオで語りました。
前回の2019年日本大会で初の1次リーグ突破を果たした日本代表は現在、世界ランキング14位。2大会連続のベスト8入り、そして、さらなる高みへ進むことが期待されます。今大会では、プールDに属し、9月10日にチリ代表(世界ランキング22位)、18日にイングランド代表(同8位)、29日にサモア代表(同12位)、10月8日にアルゼンチン代表(同6位)と、それぞれ対戦します。
かつて神戸製鋼のSH(=スクラムハーフ)として活躍し、日本代表監督を務めた経験を持つ萩本光威さん(関西ラグビーフットボール協会会長)は、今回の日本代表「ブレイブ・ブロッサムズ」について、「4年前よりはちょっと不安要素がある」と言います。前回は日本での開催ということもあってかなりの準備を積んできたなか、今回はコロナ禍や「サンウルブズ」がなくなった影響などもあって、国際試合の経験値を重ねきれず。諸外国が戦力アップしたことで、W杯本番前の壮行試合でも苦戦が続いているだけに、「それを見ると心配になる」と本音も明かします。
それでも、「(前回)ベスト8という経験は大きなプラス要素。内容の濃い練習もやっていると思うので、それ(練習の成果)をすべてぶつけて(試合を)やっていけば、イングランドやアルゼンチンといった強豪相手にも、競っていくことができたり、勝つ可能性もある」と、ジャパンの一員として現役時代は第1回W杯日本代表にも名を連ねたレジェンドは、後輩たちの活躍に期待していました。
同じプールDでは、「初戦のチリ戦と、サモア戦には勝たないといけない」と、萩本さん。特にサモアには7月22日に札幌ドームで対戦したときに22-24と惜敗しているだけに、そのリベンジを果たしたいところ。「前回の試合ではミスで自滅していた。取れるところできっちり取っていくことができるか」が、ジャパン勝利のカギになると述べていました。また、第2戦の相手・イングランドは、キャプテンのオーウェン・ファレル選手(SO=スタンドオフ)が出場停止期間中で、ほかのメンバーにもけが人が出ているという情報もあるだけに、ランキング上位の一角を切り崩していきたいものです。
SH経験を持つ萩本さんは、強豪相手の際は特に、日本の球出しのテンポにも注目していると言います。「(球出しが)『イチ・ニ・サン』になると、DFがある程度そろってマークがきつくなるもの。『イチ・ニ!』くらいの速さで出ると、DFがそろいにくく、マークが取りにくいので、それでどんどん攻撃をしかけて、横縦、縦横といった動き(が重要)。LO(=ロック)の(ワーナー・)ディアンズがスピードをもって入っていくとか、FL(=フランカー)の連中がパスのつなぎ目の役で勢いよく前に出てパスをするとかが相まってくると、その“ポンポン”といったリズムが続く。そうなると、イングランドのような(体格のいい)相手はディフェンスしにくい。そういう攻撃を期待したい」と、持論を展開していました。
今回のジャパンには、萩本さんがかつて所属していた神戸製鋼ラグビー部、現在の「コベルコ神戸スティーラーズ」からも3人選ばれています。具智元(グ・ジウォン)選手(PR=プロップ)は2度目のW杯、サウマキ・アマナキ選手(LO)と李承信(リ・スンシン)選手(SO)は初めてのW杯になります。
萩本さんは「具選手は経験値が高い。スクラムで強さを発揮する」、「僕は李選手をかっている。バックスを引き出すのは彼のほうがいいのでは」、「サウマキ選手はスクラムの後ろで押すのと、空中戦で頑張ってもらえれば。LOはアタックでは突破役を担う。相手もデカいが、彼の大きさと強さで、それに負けず縦に突き進んでくれれば」と、後輩たちにエールを送っていました。
日本の初戦、チリ戦は、日本時間10日の午後8時から試合開始予定です。
※ラジオ関西『原田伸郎 のびのび金ようび』2023年9月8日放送回より