女子サッカー・WEリーグのINAC神戸レオネッサで、今シーズンからキャプテンに就任した、なでしこジャパン(日本女子代表)FW田中美南選手について、なでしこOGの川上直子氏がその活躍を称えるとともに、期待するチームリーダー像についてラジオで語りました。
なでしこジャパンの一員として女子W杯(FIFA女子ワールドカップオーストラリア&ニュージーランド2023)に出場後、つかの間のオフを経て、クラブチームで新シーズンに挑んでいる、田中選手。WEリーグカップには9月10日のグループステージ第3節ちふれASエルフェン埼玉(EL埼玉)戦からピッチに立つと、ゴールこそなかったものの、同じくW杯メンバーだったDF守屋都弥選手やDF三宅史織選手らとともにそれまで苦戦していたチームを立て直し、INAC神戸の新体制初勝利に貢献。また、18日の同第4節では、古巣の日テレ・東京ヴェルディベレーザ(東京NB)戦では、前半16分、ペナルティーエリア内でパスを受けると、相手DFの寄せを素早く振り切り、左足でシュート。これがGKの手の届かない絶妙なコースに決まり、自身、INAC神戸での新シーズン初得点をマーク。その後も、チームの2点目に絡むなど、動きのよさとリーダーシップが際立ったエースFWは、2試合連続フル出場で、連勝の立役者になりました。チームも3-0と勝利し、グループBの2位に浮上したことで、同1位の東京NBとの勝点差は1に。WEリーグカップ・グループステージ残り1試合での逆転首位、決勝進出の可能性を残しました。
元なでしこジャパンDF川上氏は、自身がパーソナリティーを務めるラジオ番組『カンピオーネ!レオネッサ!!』9月18日放送回で、東京NB対INAC神戸戦のMIPに、田中選手を選出。「(得点は)うまく身体の向きをとってターンしてから落ち着いて流し込んだ。古巣相手なので、キックオフのホイッスルが鳴った瞬間から『やってやるぞ!』という雰囲気が出ていた」と、気合いのこもったプレーを見せて結果を出した田中選手を称賛しました。
さらに、川上氏は、「(今のINAC神戸について)移籍した選手もいて、補強も多くできたわけではないので、チーム状況は決していいわけではないと思うが、そのなかでもピッチ内外で引っ張ってほしい」と、新たなチームリーダー・田中選手へ大きな期待をかけています。そこで例に出したのが、今年、18年ぶりにプロ野球セ・リーグ優勝を決めた阪神の4番打者・大山悠輔選手の存在と、優勝決定試合で解説を務めた掛布雅之氏の言葉です。川上氏は次のように述べます。
「(中継の)解説を務めていた掛布さんが話していて印象的だったのが、大山選手の話。阪神がアレ=優勝したとき『打てなくてベンチに戻るときでも、大山に4番の風格が出ているのか、たたずまいや所作が素晴らしい。打てなくても堂々と帰る、貫禄が出てきていいね』と言っていた。
今年、田中選手も、(リーグ戦などで)毎試合は得点を取れなかったり、結果が出ないかもしれないし、チームが苦しい状況になるかもしれない。でも、キャプテンとして、エースとして、どっしりかまえてチームを引っ張ってほしい。その(掛布さんの話を聞いた)ときに、(大山選手の存在が田中選手と)重なる思いを感じた」
くしくも、大山選手と田中選手は、同じ1994年生まれ。ミスタータイガースが認めた虎の4番のように、INAC神戸のエースFW・田中選手にも、チームを頂点に導く活躍を期待せずにはいられません。
ちなみに、田中選手は、23日に福岡・北九州スタジアムで行われた国際親善試合・アルゼンチン女子代表戦で先制点を決めるなど、代表の舞台でも結果を残しました。
なお、INAC神戸は、10月1日、WEリーグカップ・グループステージ最終戦となる第5節で、アルビレックス新潟レディースとの試合に挑みます。この一戦は大阪のヨドコウ桜スタジアムで午後3時から行われます。