サッカーの日本女子代表「なでしこジャパン」は23日に福岡・北九州スタジアムで行われた国際親善試合・アルゼンチン女子代表戦で8-0と大勝。国内のサポーターに女子W杯で奮闘したチームの力を披露していました。この試合について、元なでしこジャパンDF川上直子氏がラジオで感想を述べました。
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アルゼンチンは日本人でもこたえるような今夏の蒸し暑さにびっくりしていたのかも……。結果的には8得点となったが、仮想・韓国という一戦で、一番よかったのは前半2分に先制したこと。田中美南選手(INAC神戸レオネッサ)が相手のミスを見逃さず決め切れたことが、一番大きな収穫。アジア予選の中では、すごく引いてくるチームもあるはずで、そうされたとき、わずかなチャンスをモノにすることが大事になる。
私も経験したが、アジアの試合だと守り倒されて全然得点が取れない。GKがよかったりすると、なおさら。ずっと攻めているけど、なかなか得点が取れないこともある。なので、どんな形でもいいので得点を取ることがすごく大事かなと思う。今回は2分、10分、25分……と得点の時間帯もよかった。しかも、きれいなゴールが続いた。
この一戦では、4バックにして、その前のポジションにDF熊谷紗希選手(ASローマ/イタリア)が入っていた。こうすることで、試合の流れのなかで、南萌華選手(ASローマ/イタリア)、高橋はな選手(三菱重工浦和レッズレディース)、熊谷選手の(センターバック)3枚にして、両ワイドをもっと高い位置にとることもできる。両ワイドが上がったとき、熊谷選手がちょっとおりてきて、3人でディフェンスラインを作る変化も出せる。新たなオプションはすごくよかったと思う。
(3点目の)高橋選手のヘディングシュートを左クロスでおぜん立てした遠藤純選手(エンジェル・シティFC/アメリカ)は、W杯からずっとパフォーマンスがいいように思う。アメリカですごく成長したのかなと。また、植木理子選手(ウェストハム・ユナイテッド/イングランド)がPKでゴールを決めたが、(女子W杯準々決勝での失敗もあり)チームメイトもドキドキ祈るようにして観ていたのが印象的。私なら1回外したら、「もう絶対イヤ! 誰か蹴って!」と思うけど(苦笑)。外してもまたチャレンジする姿、勇気を持って蹴れるのは素晴らしい。
パリ五輪のアジアからの出場は2チームだけ。力的にはオーストラリアと日本が抜けているのかもしれないが、韓国や中国の選手たちなど、日本と身体つきも一緒で、ヨーロッパの選手なら一回振り切ったらついてこれないところを小回りがきいてついてくる場合もある。粘り強く戦ってこられたりするので、一戦一戦大事に戦ってほしい。10月26日からの五輪アジア2次予選で、日本はベトナム、ウズベキスタン、インドと同じグループC。ここでつまずくようなことがあれば大変だが、ここは大丈夫だろうと思う。
あと、三宅史織選手(INAC神戸レオネッサ)について、「サイドで起用するんだ」と思った。(本来センターバックのため)サイドでの起用は意外だった。ただし、W杯から出場時間がほとんどなく、試合勘(のなさ)がある。今まで試合に出続けている選手が、試合を経験していない時間が増えるのはあまりよくない。どんな形でもピッチに立つことが大事。もっと試合に出てほしい。
北九州スタジアムは雰囲気もよかった。テレビ中継もあったなか、代表もいいパフォーマンスを見せられたので、WEリーグの試合にも「あっ、行ってみようかな」と思ってもらえればうれしい。
(※以上、ラジオ関西『カンピオーネ!レオネッサ!!』2023年9月25日放送回、パーソナリティー・川上直子氏のコメントより)