プロ野球・元阪神の関本賢太郎氏が、2日放送のラジオ番組にゲスト出演し、阪神優勝の原動力や、今シーズンのポイントとなったワンシーンに関する秘話を明かしました。
18年ぶり6回目のセ・リーグ優勝を果たした阪神。今シーズンのペナントレースでは85勝53敗5分け、2位広島に11.5ゲーム差をつける圧倒的な力で頂点に立ちました。
このたびラジオ番組で優勝の原動力は誰かを問われた関本氏は、最初、「難しいこと聞くなぁ~!」と本音を吐露。それでも、打者では、リードオフマンとしてチームを牽引し最多盗塁賞(28盗塁)にも輝いた近本光司選手をはじめ、主に二番を打ちながら最多安打者賞(164安打)となった中野拓夢選手、最多出塁率賞(出塁率.403)を獲得した不動の4番・大山悠輔選手といった名が。さらに、ショートの定位置を確保した木浪聖也選手や、24本塁打を放った佐藤輝明選手、けがで離脱を強いられた梅野隆太郎選手の穴を埋めた捕手の坂本誠志郎選手も評価するなど、候補者は枚挙にいとまがありません。
それは投手陣も同じ。プロ3年目で一気に飛躍し防御率1.75で最優秀防御率賞を勝ち取った村上頌樹選手や、現役ドラフトでソフトバンクから加わったなかでチーム最多の12勝を記録した大竹耕太郎選手、35セーブで最多セーブ投手賞を得た守護神・岩崎優投手は目立つ存在だったよう。それでも、「まだまだいますよ!」と、選手では決め切れない様子も。
そこで出た結論は、「結局いろんな選手に成績をあげさせて優勝に導いたというところでいえば、監督かな」と、岡田彰布監督に。ただし、指揮官をはじめチームを支えた平田勝男ヘッドコーチの存在もひときわ大きかったといいます。
関本氏が平田ヘッドのすごさを特に感じたのは、8月18日、横浜スタジアムで行われたDeNA戦。2塁ベース上の盗塁の際のクロスプレーで、足でベースをブロックされて盗塁の足が入らなかったにもかかわらず、リクエスト判定でアウトになり、岡田監督が猛抗議。そのときの平田ヘッドの対応にあったそうです。
「抗議の時間は5分と決まっていて、それを超えると退場になってしまう。そのなかで、岡田さんがとにかく猛抗議しているから、平田ヘッドは岡田監督が抗議にいったタイミングで『ストップウォッチで時間を測っとけ』と言ったそう。一緒にエキサイトしていたら普通はそんなことはできない。『5分やからな』と言って、岡田さんが抗議するそばでずっと待っているんです。時計をチラチラと見ながら、これ以上いけば監督が退場になるというギリギリのタイミングで(仲裁に)入った。岡田さんが抗議をしているというスタンスを選手に見せつつね。ヘッドの役目、すごいですよ!
大事な一戦で、『この試合はおとされへん!』と、あれだけ監督が熱くなったところを選手に見せる。表に立つ監督がもう退場になってしまうというとき、さっと平田ヘッドが入って『監督、後ろに下がってください』と、身代わりになるような形で、自ら出ていく(岡田監督をベンチに戻す)。普通、『セーフやろ!』とエキサイトしているとき、冷静にストップウォッチ測っとけなんて言えないもの。そういうことができるのはなかなかいない」
その試合こそ1-2と惜敗しましたが、ここで発奮したチームは翌日からは6連勝を達成するなど、例年「死の長期ロード」がある8月の戦いを18勝7敗と大きく勝ち越し。その夏の貯金と勢いが、9月の11連勝というラストスパートにもつながり、見事に優勝を勝ち取りました。
岡田監督は以前、「2軍をどれだけ知ることができるかが優勝に大きな影響をおよぼすから、2軍監督をやってから1軍監督をやるのがいい。2軍を知っているやつはだれか、平田や!」という話をしていたようで、昨年まで2軍監督を務めていた平田氏を、今年から1軍ヘッドコーチに据えました。2005年優勝のときも岡田監督のもとでヘッドコーチを務めている名参謀の役割の大きさを、今回のワンシーンでも改めて垣間見ることができました。