プロ野球・元阪神の関本賢太郎氏が、2日放送のラジオ番組にゲスト出演し、阪神を18年ぶりのリーグ優勝に導いた岡田彰布監督について、自らの現役時代でのエピソードを明かしつつ、現在との指導法の違いなどを語りながら、その采配を絶賛しました。
今年9月14日、宿敵・巨人との伝統の一戦で、念願の「アレ」達成、18年ぶり6回目のセ・リーグ優勝を果たした阪神。その瞬間、関本氏は甲子園でBS中継の解説を担当していました。自身がプロ入り後、現場で直接指導を受けてきた恩師が再び宙に舞う姿を目の当たりにして、感慨ひとしおだったといいます。
「僕は岡田さんが2軍監督をされているときからお世話になって、10年ほど指導を受けてきました。1回ユニフォームを脱がれてから、もう1回やるんだろうなと思いながらも、長い年月がたって、御歳も65歳くらいになられて、もしかしたら(現場復帰は)もうないかなと思っていたんです。でも、また監督をされて、采配しているところや(優勝で)胴上げされるところを、まさか解説者として見る立場になるとは……。いろんな気持ちが入り混じって、あの胴上げを観ていました」
また、関本氏は、自身の現役当時と、現在とで、岡田監督の選手との接し方に大きな変化があったと語ります。
「僕がまだ二十歳くらいの頃に岡田さんが監督をされたときは、もう親父のような感じ。年齢的にもそれくらい(の年の差だった)なので。今でこそあまり選手と会話をしないということをいろんなところで言っていましたが、僕らのときは会話がめちゃくちゃあったんですよ。これでもかというくらい、いろんなことを教えてもらいました。
(当時)監督が1軍に行くタイミングで、僕も1軍のほうに定着しましたが、1軍監督と選手と(いう間柄に)なって、ちょっと距離ができたわけです。それは1軍監督という立場なので、全員とまんべんなく距離を取るということを監督が考えていたのかなと。その感覚は、成人してから、家を出てからの親父との距離感とそんなに変わらなくて、会話はそんなにないけど、別に会話がないからといって嫌いになったとか、そんなことではないというもの。会話がなくても監督が何を考えているかくらいはわかるよという感じでした。
それが今、監督がきて(再び指揮をとって)、急に、おじいちゃんと孫くらいの(選手との)年齢差になったんです。(再び阪神の)監督に就任されたときに、(指揮官になると)あまりコミュニケーションをとるほうじゃないので、どうやって監督の野球観というのをその孫たちに解いていくのかなと、そこだけが心配でした。でも、野球をしながら、野球人は、その采配で『あっ、監督はこういうことを考えているねんや』というのがわかるもの。だから、采配でメッセージを伝えたのかなと、僕は思っています。でも、それが1年で浸透するなんて思ってもみなかったので、(1年でのリーグ優勝達成は)偉業だと思いますよ」
そして、関本氏は、岡田監督が守備位置をあらかじめ固定化したことも、選手にいい影響を与えたと分析します。
「(監督が)どういうことをしようとしているのかは、選手が敏感に感じているんですよ。新しい監督がきたらどういう野球がしたくて、自分自身は監督の野球にどうやってマッチしていこうかなというのが、選手の考えること。それが、今回は早くから守備を重要視して、ディフェンスから野球をするということをあげていたので、ならば守備力を向上しないといけないし、自分がどこのポジションを守ってチームに貢献しようかなと(考えて行動するもの)。そこで、監督はけっこうピンポイントに『この選手はここを守らせる』と固定するようになったので、わかりやすかったんちゃうかなと思います」
さらに「優勝経験のある監督なので、優勝経験のない選手たちも『この人についていったら優勝できるかも』と思える選手がだんだん増えてきて、『あっ、行けるぞ! 行けるぞ!』という感じやったと思いますよ」と、関本氏は現場の思いを代弁していました。
阪神は10月18日からクライマックスシリーズ(CS)のファイナルシリーズに臨みますが、関本氏は、CSの戦いのポイントについて「レギュラーシーズンが終わってから時間があいているので、ここの調整がすごく大事やと思うんです」とコメント。優勝が決まってから約1か月と間があくだけでなく、レギュラーシーズンが10月4日に終わり、そこから2週間、公式戦から遠のくため、実戦感覚をいかになくさないかが、1985年以来となる日本一達成のカギとなりそう。岡田監督の手腕がここからさらに注目されます。
※ラジオ関西『としちゃん・大貴のええやんカー!やってみよう!!』2023年10月2日放送回より