ローカルの友人によると、こうしたパーティーの大半は、会社が従業員を対象に、福利厚生の一環として、毎年開いているそう。ドリアンは品種や産地によって旬が異なりますが、今はほぼ年中楽しむことができます。ただ、最も多く収穫されるのが8月前後とされており、独立記念日(8月31日)やマレーシアデー(9月16日)のあたりに同様のパーティーが多く開かれているように感じます。
そもそも、ドリアンという名前は「とげのある食べ物」を意味するマレー語です。生産量はタイに次いでマレーシアは世界2位ですが、タイは中国などへの輸出が多い一方、マレーシアは多くが国内で消費されるといいます。マレーシアでの1人あたりの年間平均消費量は11キロを超え、およそドリアン3個分に上るとも言われています。
独特のにおいは、腐った玉ねぎや硫黄臭などと表現され、ホテルのエレベーターには「ドリアン持ち込み禁止」という札をよく見かけるほど。しかし、その香りにハマる人も多く、ローカルの人にとっては、「ドリアンを楽しめて一人前」という意識があるようです。「我が子には11回食べさせて、ようやく好きになってもらえたわ」と話してくれたローカルの友人もいたほどです。
私もローカルの人に執拗に勧められ、これまでに4度食べたことがありますが、腐ったコーヒー豆のような感じがして、正直まだ好きにはなれていません。しかし、最高のものでも1玉2000円程度と、日本で買う10分の1くらいの価格で購入でき、しかも地産の新鮮なものを味わえる絶好のチャンスでもあります。
さて、私はあと何回食べれば、好きになれるのでしょうか。ドリアンの季節が待ち遠しくなるくらい好きになれると、今以上にマレーシア生活も満喫できるのになぁと感じています。
(取材・文=斉藤絵美)