―――どんなトラックがあった?
【道前さん】 荷物が見えるようにシースルーになっているトラック、紅白や家紋の幕をまとったトラックも多かったです。名古屋では、当時地域の人々にとって絶大な権威を誇った百貨店の包装紙ですべての荷物を包装することもあったのだそう。
これらのトラックは家具屋が貸し出しをしていたり、個人が所有している軽トラを装飾していたりと、さまざまでした。
―――花嫁トラックならではのエピソードは?
【道前さん】 花嫁が出戻りしないように、ということから「花嫁トラックはバックをしない」というルールがありました。道を譲ってもらったりして絶対にバックしなかったそうです。名古屋では、道を譲ってくれた車にその都度お祝儀を渡したりしていました。
ただ、花嫁トラックの慣習がない地域に嫁ぐ際には、周りの人たちから不思議そうな目で見られることも多かったそうです。
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昭和の結婚を彩った「花嫁トラック」ですが、ウォークインクローゼットの普及など住宅環境の変化によって2000年ごろから急激に衰退し、現在ではほとんど見られなくなったのだそう。
昭和の時代に、街中で花嫁トラックを見かけたという人もいるのではないでしょうか。今では見ることのできない懐かしの結婚式文化を振り返ってみるのもいいかもしれません。
※ラジオ関西『Clip』2023年10月12日放送回より
(取材・文=濱田象太朗)