なぜ? 紙幣に人の顔が描かれるワケとは? ←「人間の特性」に着目したニセ札対策だった | ラジトピ ラジオ関西トピックス

なぜ? 紙幣に人の顔が描かれるワケとは? ←「人間の特性」に着目したニセ札対策だった

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 福沢諭吉、野口英世と言えば、多くの人が“お札(紙幣)”を思い出すのではないでしょうか。今回は普段何気なく使っているお札について、発行・流通・管理をする「日本銀行」のホームページを参考にした上で、製造を行う「国立印刷局」に紙幣にまつわる話を聞いてみました。

現行の一万円(出典:国立印刷局HP)

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 まずは、紙幣に描かれた人物の肖像について。近年、ほとんどの紙幣の「右側」に偉人が鎮座しています。なぜ右側なのでしょうか? 調査したところ、“紙幣の勘定の仕方”が関係しているというのです。過去、唯一「左側」に描かれたのは1915年に発行された十円札の和気清麻呂でした。ところが、左手で紙幣を持ち肖像が見えるようにして数えるのが一般的だった当時、「十円札だけ肖像が確認しにくく不便」という声が多く寄せられたそうです。それ以降、肖像の位置はほとんどが右側に描かれるようになったとのこと。

 では、そもそも肖像が描かれているのはなぜでしょう? その大きな理由の一つが、「見慣れている人物の顔の違和感に、人は気付きやすい」という人間の特性を利用するためなのだとか。見慣れた肖像が少しでもズレていたり歪んでいたりすると違和感を持つ事ができる……つまり、偽造された紙幣の肖像が少しでも違っていた場合に、それがニセ札だと判別ができる……そういった理由から肖像は描かれているのです。

 その他にも、「人間の表情は真似をして描くのが難しい」「肖像の人物に対して国民に親近感を持ってもらう」といった狙いもあるそうです。ちなみに、これまでに描かれた17人の中で「メガネ」をかけているのは、新渡戸稲造と高橋是清だけということも教えてもらいました。

新渡戸稲造が描かれた紙幣(出典:国立印刷局HP)

 券種ごとの意外な識別方法も聞きました。千円札・五千円札・一万円札を見分けるために「目に見えている事以外」で判別する方法がいくつかあるといいます。その一つが“識別マーク”。現行の一万円札は「かぎ型」、五千円札は「八角形」、千円札は「横棒」になっており、手で触ることで違いを区別できるとのこと。この識別マークですが、2024年7 月前半に発行される新札から形がすべて“11本の斜線”に統一され、券種ごとにマークを配置する場所を変えることで違いを分かりやすくしています。

 大きさも微妙に違います。現行のものは縦76ミリにすべて統一されていますが、横の長さは一万円札が160ミリ、五千円札が156mm、千円札が150ミリに設定されています。新紙幣も同じサイズ設定となります。

様々な紙幣

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 紙幣以外にも、普段何気なく使っているものには知らない事がまだまだありそうです。改めて調べてみるのも良いかもしれませんね。

参考文献:日本銀行「お金の話あれこれ」

(取材・文=濱田象太朗)

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