「観光客が増えることは悪いことではない」 進む、観光地のICT化と“オーバーツーリズム” | ラジトピ ラジオ関西トピックス

「観光客が増えることは悪いことではない」 進む、観光地のICT化と“オーバーツーリズム”

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 劇作家・演出家 平田オリザさんのラジオ番組(ラジオ関西『平田オリザの舞台は但馬』)では、前週に続き、株式会社JTB姫路支店の観光開発プロデューサー・若田部重樹さんが出演。兵庫県観光における魅力アップのための施策やオーバーツーリズムについて意見を交わした。

株式会社JTB姫路支店の観光開発プロデューサー・若田部重樹さん(写真中央)、番組パーソナリティーの平田オリザ(同右)、田名部真理(同左)

 若田部さんが担うのは、地域の現状分析からの戦略立案、コンテンツ開発やプロモーションなど、中長期視点での地域課題ソリューションを提供し、持続可能な地域づくりの実現に伴走する“観光開発プロデューサー”という役割。兵庫県観光における宿泊・滞在時間の短さなど、さまざまな観光問題に取り組んでいる。

 若田部さんがいま魅力を感じているのが、「山城(やまじろ)」。山城とは中世における築城形式のひとつで、山地の地形を使用した城を指す。その魅力について、若田部さんは「どこに建てられ、どんなふうに活用されていたのかと考えるだけで楽しいですよね。ロマンを感じます」とコメント。

 山城のなかでも、近年、雲海を目当てに多くの観光客が訪れている竹田城跡(朝来市)を例に挙げ、古民家を改装した宿泊施設の増加による滞在時間の延長にも期待を寄せた。11月18日(土)には、今年で30回目を迎える「全国山城サミット」が朝来市で開催されるため、「姫路も連携して誘客を図りたい」と語った。

 観光客の誘致を目指す一方で、多くの観光客が訪れることで地域住民の生活が脅かされる「オーバーツーリズム」も話題に。姫路はまだ顕在化していないが、今後、外国人観光客が増えることを視野に入れた対策が必要となる。

 なかでも、兵庫県豊岡市にある城崎温泉では“外湯めぐり”が人気だが、周辺の共同浴場は地域住民も利用するため混雑する場合があるという。そこで導入されたのが、外湯の混雑状況がリアルタイムでわかるスマートフォンシステムだ。

 同システムの導入、及び観光地における「ICT(=Information Technologyの略)」の発展について、平田さんはこのように語った。

「城崎は随分ICT化が進んでいます。(観光客が)増えることは悪いことではない。先日関空を利用した際、鉄道切符売り場に外国人観光客が殺到しているのを見ました。スマートフォンと同じで発券機もガラパゴス化しているから、外国人にとっては便利すぎてわからないんですよね。京都と大阪・なんばくらいに選択肢を絞るなど、システムを少し変えるだけでうまくさばくことができるはず」(平田さん)

 今冬には、姫路城世界遺産登録30周年を迎える姫路市。若田部さんは、「大手前通りを行って戻るのではなく、帰りにはみゆき通りを通って姫路グルメを堪能してもらうなど、少しでも長く滞在してもらうことで姫路の魅力を知っていただけるような仕掛けをしていきたいですね」と意気込んだ。

 これに対し、平田さんは「『観光』という言葉は、中国の古典(四書五経『易経』)にある『国の光を観る』からきています。自然発光するものって地球上にはあまりなくて、光を当てないと見えない。光を当てるひとつのツールが『アート』であり、若田部さんのお仕事のような『プロデュース』だと思います」と持論を語った。

株式会社JTB姫路支店の観光開発プロデューサー・若田部重樹さん(写真中央)、番組パーソナリティーの平田オリザ(同右)、田名部真理(同左)

※ラジオ関西『平田オリザの舞台は但馬』2023年10月19日放送回より

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『平田オリザの舞台は但馬』
放送日時:毎週木曜日 13:00~13:25
放送局:ラジオ関西(AM 558khz / FM 91.1mhz)
パーソナリティー:平田オリザ、田名部真理
メール:oriza@jocr.jp

『ラジコ』では放送後1週間はタイムフリーでの聴取が可能。番組では、平田オリザさんが、ともにパーソナリティーを務める田名部真理さんと、これまでの自身の話しや演劇界への思い、移住拠点となっている兵庫・豊岡、但馬地域について、トークを進めていく。

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