空の玄関口・伊丹空港があることでも知られる兵庫県伊丹市。宝塚市、川西市、三田市、猪名川町とともに兵庫県の北摂地域を構成し、神戸や大阪からもアクセスが良いなど近代的で便利な面がありつつ、異なる趣きも持っています。
今回はそんな伊丹市の“秋の魅力”について、いたみ観光大使ローズメイトの宇山佳菜子さんと菱井友紀さんに聞きました。
二人が、伊丹に来たらぜひ楽しんでほしいと話すのが「″清酒発祥の地”巡り」です。じつは、伊丹市が清酒発祥の地とされていることはご存知でしょうか?
16世紀末、それまでの日本酒は白く濁った″にごり酒”しかありませんでした。それを、鴻池財閥の始祖で伊丹の酒造家である鴻池新六が改良し、澄んだ透明な清酒を開発したといわれています。
鴻池家の家伝として、主人から叱られた従業員が、腹いせに酒樽の中に灰を投げ入れたところ、次の日澄み切ったきれいな酒・清酒ができたとのいわれがあります。これが″清酒の誕生”とされおり、江戸で評判を呼んだ高品質な伊丹の酒は、将軍家が飲む「御膳酒」に選ばれたものもあったそうです。
そんな清酒誕生の地で宇山さんと菱井さんが推薦するのが、酒蔵の佇まいを今に残す「旧岡田家住宅」です。伊丹の町家として最も古く、全国的にも数少ない17世紀の町家の一つ。江戸時代に栄えた伊丹の酒造りを伝える大変貴重な建物です。
また、築250年の酒蔵をリノベーションした「白雪ブルワリービレッジ長寿蔵レストラン」も、伊丹散策で訪れてほしいスポットの一つとのこと。1階ではクラフトビールや食事を楽しめるのに加え、2階の「長寿蔵ミュージアム」では酒造りを再現したジオラマや道具を見学することもできます。