世界中に大きな経済的打撃も与えた新型コロナ。各企業は、“元に戻す”以上に新たな道の開拓を模索している。そこで今年9月、ポストコロナのビジネスチャンスを探ろうと、地元信用金庫が主催する『こうべしんきん ビジネスメッセ 2023』が兵庫県神戸市内で開かれた。
今シリーズでは、メッセを通じて発信された、兵庫・神戸の企業の独自技術やサービスを全23回にわたって紹介する。第14回は、「多孔質プラスチック」の製造加工・販売を行うトーメイ工業株式会社(兵庫県加古郡稲美町)。
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多孔質プラスチックとは、小さな穴が無数に開いている多孔質体の合成樹脂のこと。パウダー状のプラスチックを金型に入れて熱にかけ、粒が溶けきる前に冷やし固めることで、隙間の空いた製品=多孔質プラスチックを作る。プラスチックを焼結して多孔質にする技術は、国内では珍しいという。
多孔質プラスチックは、身近なところでは液体のりの塗布面に使われている。かつてよく見られた、水道の蛇口に付けた白いフィルターにも用いられていたとのこと。営業部課長・プロダクトマネジャーの二星佳宏さんによると、表面や内部におびただしい数の小さな穴が開いているため、フィルターやサイレンサー(消音材)など、蒸散機能を活用する使われ方が多いのだそうだ。
最近では、医療機器の部材としても引き合いが増えているといい、機械内部や、PCR検査などの医療分析用品にも使用されている。「機器メーカーからのオーダーを受けて生産しています。形状や濾過する性能など、お客様のご要望に合ったものを作っています」と二星さん。
多孔質プラスチックを扱っている企業は日本でも十社ほどで、西日本では同社のみ。二星さんは「たくさんのお問い合わせをいただいています。東京からのお問い合わせも多くなっています」と笑顔を見せていた。
※ラジオ関西『こうべしんきん三上公也の企業訪問』2023年10月3日放送回より
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