劇作家・演出家 平田オリザさんのラジオ番組(ラジオ関西『平田オリザの舞台は但馬』)に、11月23日(木・祝)まで開催中の現代アートの芸術祭「六甲ミーツ・アート芸術散歩2023 beyond」で総合ディレクターを務める高見澤清隆さんが出演。同イベントの見どころを語った。
「六甲ミーツ・アート芸術散歩2023 beyond」は、2010年から毎年開催されている現代アートの芸術祭で、兵庫県・六甲山上の各レジャー施設を運営する民間企業が観光振興を目的にスタートさせた。これまでに延べ470組以上のアーティストが参加しており、六甲山の自然を感じながら国内外のアーティストによる作品を鑑賞できる秋の恒例イベントとなっている。
高見澤さんは初年度から関わっており、ミュージアム館内だけでなく、植物園や古い山荘、現在は使われていないホテルなども会場にしながら、新たな価値観の提示に挑むアーティストと社会の接地点を生み出してきた。滞在制作をおこなうアーティストからも、「都市から近い自然のなかで制作に集中できる」と人気が高いという。
14回目の開催となる今年は「beyond」をテーマに銘打ち、新たな試みを展開している。目玉は、徒歩で移動しながら作品を楽しむ「トレイルエリア」の新設。運営企業が所有する敷地のみならず、日本最古のゴルフ場のそばを通れるほか、期間限定で個人所有の山荘内に作品を展示するなど、まさに境界を「超えて」地域に染みだしていく試みとなっている。
これまでは、会場が国立公園であることから1年ごとに作品を撤去せざるを得なかったが、環境省の協力により一部作品は会期終了後も展示が可能となったため、六甲山が今まで以上にいつでもアートに触れられる場所となる。
期間中の土日祝には、子ども向けのワークショップが開催されるほか、「ROKKO森の音ミュージアム」「六甲高山植物園」ではライトアップイベント「ひかりの森~夜の芸術散歩~」も実施されており、昼間とは異なる表情が楽しめそうだ。
「六甲山には芸術祭を目的としない人も訪れるため、ある種『ストリート』的なところがある。山上までのケーブルカーも10分間で異世界へと誘う装置として機能し、現代アートとのファーストコンタクトにもなっている」と語る、高見澤さん。