動画はYouTubeチャンネル『僕の名前はデブ』に投稿されました。動画を撮影した保護主さんは、猫の保護活動を継続的に行っており、現在は44匹の猫たちを飼育しています。保護主さんに話を聞きました。
ーー子猫ちゃんを保護した経緯について教えてください。
「ある日、娘の友達から『駐車場でへその緒がついた子猫が泣いていて、元気がない』と連絡がありました。親猫が近くにいる可能性もありましたが、低体温症に陥っている場合があるので、とにかく体を温めてほしいと伝え、その後保護に向かいました。保護当時の体重はわずか74グラムで、まだ目も開いていない赤ちゃん猫でした。ここまで小さな子は初めてでしたが、なんとか命を繋げたいと思いました」
ーー現在、約生後5カ月に成長した子猫ちゃんの様子はいかがですか?
「あんなに小さかった子猫ですが、今やまるで怪獣のようです(笑)。人が掃除していると手元に飛びついて遊んできたり、ゴミ箱を倒す、水を倒す、飛び乗ってくる、顔や首や腕をチュッチュと吸ってきたりなどなど……!でも、ほんの少し前までは生死の境をさまよっていたことを思うと、元気に成長してくれているのだと実感できて、嬉しくて仕方ありません!」
ーー猫の多頭飼育で、特に気をつけていることはありますか?
「我が家はやはり猫たちの入れ替わりが激しいので、特に気をつけているのが感染症などの病気です。外からやってくる子は必ずと言っていいほど、何かしらの病気(ウィルスや菌、寄生虫など)を持っています。その病気を蔓延させないように隔離期間を設けることや、手指の消毒、猫用品の消毒などを徹底して行っています。
また、その上で大切なのが掃除です。これだけの頭数がいると、掃除も本当に大変な作業ですが、猫たちを病気から守り、猫たちにとって居心地のよい環境作りに繋げるために、掃除は怠りません」
ーー猫の保護活動を始めたきっかけを教えてください。
「保護活動のきっかけは一匹の元ボス猫『デブ』との出会いです。初めて出会ったころから、特別な何かを感じたデブ。保護することを決意し、少しずつ距離を縮めていた最中、デブは2週間姿を消した後、大怪我を負って帰ってきました。外の過酷な環境で生き抜いたデブを、二度と危険に晒したくなくて、すぐに保護しました。
デブを保護して5カ月経ったころ、本格的に保護活動を始めました。『生粋のボス猫気質』とお医者さんにも言われたデブは、保護した猫たちを優しく迎え入れ、猫同士の喧嘩の仲裁をしてくれることも。人間に心を開かなかった猫たちは、みんなデブを通して少しずつ心を開いてくれました。
デブは心臓病を患い、2022年の7月に永眠しましたが、デブとの出会いと一緒に過ごした日々が、今の保護活動につながっています」
ーー猫の保護活動に対する思いを聞かせてください。
「保護活動をしていると、日々たくさんの猫ちゃんから癒しをもらえますが、その裏側では数えきれないほどの苦難と絶望があります。救えなかった命もたくさん目の当たりにしてきました。
これまで、正直に言うと何度も『保護活動をもう辞めたい』『もう嫌だ』と思ったことがありましたが、やはりそれでも目を背けることができなかったのは、前述した元ボス猫のデブとの出会いがあったからだと思います。野良猫に対して無知だった私の目の前に現れてくれたのはきっと、同じように苦しんでいる猫ちゃんたちをこれから先も助けていきなさい、という意味が込められているのかもしれません。
目の前で苦しんでいる猫ちゃんがいる限りは、これから先も保護活動に精一杯尽力していきたいと思っております。そして、たくさんの方に野良猫の現実を知っていただくため、また、保護猫たちの魅力を伝えていくため、YouTubeチャンネルでの発信も続けていきたいと思っております」