「えいでん」の愛称で親しまれ京都市北東部で叡山本線・鞍馬線の2路線を運営する叡山電鉄株式会社が、鞍馬駅前で展示している「デナ21型」車両カットモデルの修復を目指しクラウドファンディングを実施している。
同社常務取締役で鉄道部長の土岐弘一さんに話を聞いた。
「デナ21型」が誕生したのは1928(昭和3)年。丸みを帯びたフォルムと木造で温もりあふれる車内が特徴で、利用客からは「木の電車」と呼ばれた。急勾配が多い鞍馬線でも長年活躍し、1994(平成6)年に惜しまれながらも引退。昭和生まれのノスタルジックな車両は多くのファンから保存・展示の要望が寄せられ、翌1995年から運転台を含む前頭部がカットモデルとして鞍馬駅に展示されている。
「当時の運転手に聞くと、人馬一体ならぬ“人車一体”となって走れる車両だったと言います。洛北の厳しい暑さと寒さにも負けず65年間走り続けた、まさに不朽の名車です」(土岐さん)。
今なお愛され続けている「デナ21型」だが、屋外での展示を始めて30年以上が経過し、屋根や外板といった木製部分が腐食するなど老朽化が進んでいる。一方で、叡山電鉄は3年前の土砂災害で長期間の一部運休を余儀なくされ、また新型コロナウイルス流行による乗客の減少もあって厳しい経営状況が続いているという。土岐さんは「お客様の安全を守るために自然防災や設備改良への投資を最優先とする中、カットモデル修復の資金調達が難しいのが現状です。『デナ21型』の歴史や伝統を守っていくために力を貸していただきたく、初めてクラウドファンディングに挑戦することにしました」と話す。
リターンには、引退時の「サヨナラ記念乗車券」を模した1日乗車券やオーダーメイドのジオラマセット等を受け取れる「オリジナルグッズコース」、撮影会・乗車会に参加できる「体験コース」、そしてカットモデルの展示場所付近に名前を掲載する「全力応援コース」などを用意しているという。
秋の行楽シーズンに入り、叡山電鉄の紅葉名所である鞍馬線市原駅・二ノ瀬駅間の通称「もみじのトンネル」も見頃を迎える。11月26日(日)までは区間の徐行運転を行い、夜間のライトアップも実施中だ。「色鮮やかな紅葉はもちろん、沿線には貴船神社や鞍馬寺といった名所も数多くあります。この機会に叡山電鉄、そして『デナ21型』を知っていただければ」と土岐さん。支援募集は、11月30日(木)午後11時まで。
※ラジオ関西『羽川英樹ハッスル!』2023年10月19日放送回、「ハッスル応援団」より
◆クラウドファンディング「叡山電車|鞍馬駅に唯一残るデナ21型車両のカットモデル修復へ」
応援したい人はこちら