二の丸御殿のいけばなアート「秋燈(しゅうとう)の道」に作品を出展した京都女子大学1年の新谷美晴さんは、いけばなを始めた高校1年の春先に新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、通常の学校生活が送れず、不安な日々を過ごした。
花と1対1で向き合ういけばなは、コロナの影響がなく生け花を、いけばなを学べること自体が楽しかったという。しかし、その作品を通じて、「人に訴えかける」機会はなかった。
作品のタイトルは「つながる輪」。花材は、百合(オリエンタルハイブリット)、リンドウ、イトギク、ハイブリット・スターチス、ヒペリカム、レザーファン、ドラセナの7種を使用した。
新谷さんは、自分の作品がこうした場で多くの方々に目にしてもらえることが、何よりも嬉しいという。そして、「今年(2023年)の春に大学生になり、世間でもポスト・コロナの動きを見せる中で、コロナ禍で途絶えた人と人のつながりが再び構築されるような気がした」と話す。
御台所前の日本茶屋をイメージした飲食エリア「花見月夜」には、月夜の宴を表現したプロジェクションマッピングと、花言葉と共に自分だけの花が咲くインタラクティブアート世界が広がる。
そこでは今年(2023年)創部73年を迎えた龍谷大学・池坊華道部の4人が、プロジェクションマッピングに見入っていた。
華道部は2019年、廃部状態になったが昨年活動再開した。この時、阪東小紘さん(現4年)だけだったが、今では全部員19人で活動しているという。
阪東さんは、たった1人で300枚以上の勧誘チラシをキャンパス内で配り歩き、自らの作品を飾り、インスタグラムで体験入部を募集した。
廃部危機を何とかしたいと心配してくれたOBやOGも、SNSを通して発信を手伝ってくれた。 そうすると、高校時代に華道部だった学生や留学生、初めて京都に住む学生が「日本文化を京都で学びたい」という気持ちで集まり、ほぼ“口コミ”に近い状態で部員が増えたという。
阪東さんは、「経験を積み重ねることで自分らしい作品を生けることができ、それを多くの人に見てもらうことで自信につながる。 またSNSを通じて作品の画像がどんどん広がることが、自分への励みにもなる」と話す。
阪東さんたち池坊華道部は11月25、26日の両日、活動再開後初の展示会を大学内(龍谷大学・深草キャンパス)で開く。
【『NAKED FLOWERS 2023 秋 世界遺産・二条城』ウェブサイト】
【龍谷大学・池坊華道部 Instagram】