宝塚歌劇・劇団員転落死 全劇団員400人への聞き取り、第三者委設置も視野に 組織風土変えられるか | ラジトピ ラジオ関西トピックス

宝塚歌劇・劇団員転落死 全劇団員400人への聞き取り、第三者委設置も視野に 組織風土変えられるか

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 宝塚歌劇団・宙組に所属していた劇団員の女性(25)が9月に死亡した問題で、歌劇団側が年内(2023年)にも、第三者による調査委員会を立ち上げることが、関係者への取材でわかった。

宝塚大劇場

 女性の死亡をめぐっては、歌劇団が10月に外部の弁護士9人による調査チームを結成、11月14日に緊急会見を開き、調査報告書を公表したが、担当弁護士らは会見に同席せず、歌劇団の木場健之(こば・けんし)理事長ら内部の責任者3人だけが登壇した。

 報告書では、女性は長時間の活動などが重なったとして「強い心理的負荷がかかっていた可能性が否定できない。劇団員の才能と姿勢に依存してきた結果、劇団員が心身ともに余裕を失う現況になっている」と結論付けた。木場理事長らはそのうえで、安全配慮義務を果たしていなかったと述べた。

 しかし、「個人へのいじめやハラスメントは確認できなかった。社会通念に照らして、不当とはいえないと評価されている」とした。

緊急会見で謝罪する宝塚歌劇団・木場健之理事長ら<2023年11月14日 兵庫県宝塚市>
調査報告書の一部 女性が上級生にヘアアイロンを当てられた件についての考察

■「なぜ、パワハラ認定しないのか…」タテの関係極度に重視

 遺族によると、女性は2021年8月、上級生からヘアアイロンを額に押し当てられてやけどをしたほか、稽古中に複数の上級生に呼び出され、「下級生の失敗はすべてあんたのせい」「マインドが足りない」「うそつき野郎」などと怒号を浴びせられたとしている。

 こうしたことから、「娘が何度も何度も真実を訴え、助けを求めたにもかかわらず、劇団は無視し、ねつ造・隠ぺいを繰り返した」と訴えた。

 14日の劇団側の調査報告を受け、遺族の代理人・川人博弁護士(東京弁護士会)らは「”縦の関係”を過度に重視する風潮をそのまま容認し、上級生のパワハラ行為を認定しないのは、一時代前の価値観に基づく思考と言わざるを得ない」と批判し、再調査を求めていた。

■聞き取りは宝塚音楽学校生徒も

 こうした中、調査チームを構成する大阪市内の弁護士事務所に、歌劇団を運営する阪急電鉄のグループ企業「エイチ・ツー・オー(H2O)リテイリング(阪急阪神百貨店などの親会社)」の社外取締役の女性(弁護士)が所属していたことが判明。歌劇団側は「(H2Oは)歌劇団や阪急電鉄とは独立した企業であり、この女性は調査報告書の検討や作成には関与していない」としている。

 宝塚歌劇団にとって、第三者調査委が設置された場合、事実上の再調査となる。今後設置主体を歌劇団とするのか、運営する阪急電鉄とするのかなどを協議する。

 また、聞き取り調査は内部で行い、全ての劇団員約400人やスタッフを含み、宝塚音楽学校の生徒も対象に加えるという。

 遺族が、歌劇団と阪急電鉄を含んだ謝罪と補償を求めていることから、より広範囲の調査で、問題が起きた背景や企業風土がどこまで明らかになるかが焦点となる。

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